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11月21日-03号

  • "長期修繕計画"(/)
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  1. 京都市議会 2000-11-21
    11月21日-03号


    取得元: 京都市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-07-19
    平成12年 11月 定例会(第4回)       平成12年第4回               京都市会会議録 第3号       (定例会)           平成12年11月21日(火曜日)出席議員(68名)   1番 竹内 譲君   2番 井上教子さん   3番 小川ひろき君   4番 砂川祐司君   5番 田中英之君   6番 中村三之助君   7番 二之湯 智君   8番 井上けんじ君   9番 玉本なるみさん   10番 東山洋子さん   11番 山口 勝君   12番 柴田章喜君   13番 久保省二君   14番 安孫子和子さん   15番 中村十一君   16番 石黒利雄君   17番 加地 浩君   18番 橋村芳和君   19番 加藤盛司君   20番 繁 隆夫君   22番 岩橋ちよみさん   23番 中村かつみ君   24番 西野さち子さん   25番 安井 勉君   26番 大道義知君   27番 日置文章君   28番 谷口弘昌君   29番 天方晶英君   30番 宮本 徹君   31番 鈴木マサホ君   32番 内海貴夫君   33番 大西 均君   34番 巻野 渡君   35番 田中セツ子さん   36番 加藤広太郎君   37番 北山ただお君   39番 井坂博文君   40番 倉林明子さん   41番 佐藤和夫君   42番 富 きくお君   43番 高嶋弘恵さん   44番 中西賢治君   45番 可児達志君   46番 中西正三君   47番 今枝徳蔵君   48番 小林あきろう君   49番 梅林 等君   50番 伊藤義浩君   51番 磯辺寿子さん   52番 中野竜三君   53番 井上与一郎君   54番 川中増次郎君   55番 高橋泰一朗君   56番 森 ます子さん   57番 藤原冬樹君   59番 山中 渡君   60番 山本正志君   61番 三宅誠孝君   62番 有吉節子さん   63番 宇都宮壮一君   64番 山口幸秀君   65番 椋田知雄君   66番 中村安良君   67番 北川 明君   69番 西脇尚一君   70番 青木善男君   71番 津田幹雄君   72番 坂口芳治君欠席議員(4名)   21番 せのお直樹君   38番 河上洋子さん   58番 若宮 修君   68番 国枝克一郎君  議事日程  開議日時 11月21日午前10時  一般質問(1)市政一般について  加藤広太郎君(2)市政一般について  中村かつみ君(3)市政一般について  山口幸秀君(4)市政一般について  砂川祐司君(5)市政一般について  井上教子さん(6)市政一般について  竹内 譲君~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開議〕 ○議長(二之湯智君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付致しておきました。 本日の会議録署名者を指名致します。田中セツ子さんと佐藤和夫君とにお願い致します。~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(二之湯智君) この場合,議長から御報告申し上げます。 今回受理致しました請願2件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託致します。 以上,御報告申し上げます。御了承願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(二之湯智君) 昨日に引き続き,これより一般質問を行います。発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,加藤広太郎君。 〔加藤広太郎議員登壇(拍手)〕 ◆(加藤広太郎君) 日本共産党市会議員団を代表して質問します。 まず島津製作所五条工場跡地への大型商業施設の問題です。まちづくり条例による第1号の届出は,商業施設,レストランなど3万6,000平方メートルで,まちづくりの指針の商業集積ガイドプランの上限2万平方メートルの約2倍で多くの市民から批判が意見書として出されました。これ以上大型店は要らない。せめて小さな施設をなどの意見書や行政が求めた条例の範囲内での指導に反して,島津側の見解書は,構想どおり進めるというもので,条例の手続を待たずに進める構えさえ見せております。島津側は,ガイドプランは商業面積の上限を目安にしたもので法的拘束力もないと指摘し,私有財産権保護に対する考慮をしていただき経過措置的な御配慮を強くお願いしたいとあつかましい態度です。到底市民の支持を得られるものではありません。 市長は9月の本会議で,まちづくりの方針に適合したものとなるよう指導していく。島津は社会的責任の問題からも変更されると期待している。市民の意見を踏まえて強い決意で対応すると答弁されました。あなたをはじめ副市長が島津の社長に会って直談判などされたのですか。変更されると期待していると楽観して,強い決意の指導はなかったのではありませんか。今後どのように対応していくかであります。 土地利用調整審査会に諮問され必要な勧告,公表となりますが,島津側は,条例を無視するつもりはないが,大店立地法とは直接リンクしておらず法律に沿った手続を進めたいと表明していますから,京都市挙げての対応が必要となります。副市長は,まちづくり条例の手続が済むまで事前相談に乗らないと発言されておりますが,商業者,地元住民からも,何のための条例か,大型店出店の歯止めが効かなくなるとの声だけでなく,全国商店街振興組合連合会など全国組織からも要望書も出されており,市側の姿勢が注目されております。立地法の手続をしてきたときの対応も含めてお答えください。 京都新聞は,有効に機能する条件整備必要との記事で,条例とガイドプラン共に公表されたのが4月下旬,5月議会で可決され6月の施行までわずか1箇月間だった。審議会で討議を尽くしたと市は説明するが,唐突で短兵急な感が否めなかったと指摘しております。そのうえで,市はもっと早く提案して市民と事業者に意見や知恵を求める機会を設けるべきでなかったか。形だけの住民参加との不信さえあると厳しく市の姿勢に疑問を呈しております。この疑問は当然で,党議員団も財政総務,建設消防委員会,本会議において,市民の知恵を結集して時間を掛け商店街と小売商店を守るルールづくりを。ガイドプラン案は事実上,大型店の新しい誘致プランになっていて,これ以上の大型店は不要の立場が大切なこと。商店街を守るために地方自治体の独自権限を行使し,交通問題,住環境への影響,青少年の健全育成,高齢者や障害者に配慮したまちづくりと調和できるようにすることや,住民や近隣商店街との合意を基本とする条例に努力してきたことは理事者も御承知のはずであります。 昨日の本会議で市長は,望ましい秩序へ誘導できたと答弁されておりましたが,図らずも指摘したように新大型店誘致プランとなり,まちづくり条例が実効性に問題があることを露呈しました。全国では色々な自治体が独自の条例を作っております。杉並区は,特定商業施設の出店に係る環境の調整に関する条例で,環境保全について住民と協定を結ぶことを事業者に義務付け,従わないときは区長が営業停止を勧告できるとしています。強い決意が読み取れます。京都市の条例がこのような内容になっておれば,今回のように2,500台の駐車場に集まる道路環境問題など,到底周辺住民の合意は得られるものではありません。増田副市長は,今後運用を積み重ねていく中で,もし見直しの必要があれば検討していくと9月議会で答弁されましたが,運用を重ねなくても問題点もはっきりしただけに良好なまちづくりの観点から交通問題など環境アセスメントの義務付け,土地利用の規制,特別用途地域の積極的な活用など早急に改善すべきではありませんか,島津に対して強い姿勢で臨むことと併せてお答えください。 次に雨水の問題,これに関する公共事業の在り方についてお尋ねします。雨が降れば下水路へ,川へ流しているのが現状です。ですからまちを水害から守るために川の改修,大型の下水管での貯水,地下を掘っての貯留施設など建設ありきになっているのです。本市の雨水幹線は,建設済み,建設中,計画のあるものだけで総事業費は1,614億円の膨大な公共事業となっています。これに川や地下槽など建設局関係を入れますともっと膨れ上がって参ります。汚水と雨水を一緒に処理する合流式地域では,大雨のときに西高瀬川などにあふれ出る環境汚染問題の解消も課題となっています。合流式の改善ですが,市内地域の大部分を占めているだけにその工費は莫大なものになります。堀川のせせらぎの復活事業と同時に下水の合流式の改善が発表されましたが,その事業だけでも150億円から200億円と言われております。巨大な幹線でなく両サイドに最小限の導水管にするなど,雨水幹線や合流式改善の下水道整備計画は過剰なものにならないように総合的な検討,議論が必要です。 9月議会で我が党の坂口議員が採り上げた伏見幹線は,地下に直径6メートル,下水管を7.1キロメートル,全体で500億円を掛けるものです。東高瀬川は100年に一度の大雨に耐える河川として完成していて,これ以上の下水道の工事は必要なく見直すべきと求めました。7月に13億3,600万円を掛けて完成した7,000トンの水がためられる桂雨水貯留槽は浸水を防ぐためと言われておりますが,その効果は担当者から聞いても未知数です。今後の維持管理費も年に150万円から200万円を必要とされているだけに,このような施設が本当に必要なのかどうか十分に吟味する必要があります。 雨が降れば大型の下水管や地下を掘っての大型貯留槽という開発事業ありきの考えを改めて,可能な限り地上にためることに行政が先頭に立って企業や市民の協力を得て行う総合的な雨水対策を採る時期になっている。この立場からの質問です。雨水をできるだけためて利用し,地下浸透の対策を行い時間をずらして放流する放流抑制を総合的に取り組むことです。例えば桂貯留槽の13億円は,坪60万円としたときに2,226坪が購入でき,この広さは宝ヶ池のスポーツ少年団が使っている広場の広さに匹敵致します。この土地を50センチ低くして貯留すれば3,600トンの効果になるだけでなく,常日ごろはスポーツのために提供できることになります。横浜市では市のテニスコートや駐車場を低くして保水,遊水機能を持たせています。河川や下水路の改修,建設ありきの今の考え方からの転換が必要なのではありませんか。掛ける費用と効果を十分に検討することが大切ではないでしょうか。ここでも公共事業の再評価以前に議会や市民の協力の下で十分に議論する必要があります。答弁を求めます。 この点で京都市の取組はどうでしょうか。基本計画では,市街地の緑化・雨水貯留や浸透施設の整備等による保水性の確保,公園や建物の地下等における雨水貯留施設の設置や浸透性舗装等の普及に努めるとあります。環境管理計画ヒートアイランド現象の緩和を図るため,雨水浸透システムの導入等の配慮,水の涵養機能等の確保,雨水利用とあります。考え方としてはあるのですが,真剣に実行していないのが問題です。市の公共施設で雨水貯留して利用している施設が幾らあるか,市長御存じでしょうか。今,建設中の東山総合庁舎と西京極のメーンプール棟を入れてわずか4箇所,数多くある施設の中でこれが実態です。京都市の雨水対策はほとんどやられていないのです。建設局関係でも透水性の舗装を歩道の所で少し始めている程度で,建設省も多くの利点を言っていますので道路でも取り組む必要があります。 9月の名古屋市の災害は私たちの記憶に新しいものですが,100年に1回の大雨に対応する施設づくりを考えたとしても膨大な費用と時間を要し,特に財政問題は市民の合意が得られるかと担当職員の方も悩んでおられました。それだけに集中豪雨の大きな要因にもなっているヒートアイランド現象に対して総合的な施策に取り組むことや,雨水の貯留や地下浸透のための対策を強める必要も強調されておりました。名古屋市では500平方メートル以上の開発者に対しては100平方メートル当たり4トンの貯水漕などの設置を行うよう行政指導を徹底して,今日では7割の開発者が協力し,今やその協力で30万トンを確保していると説明を受けました。歩道では3分の1を浸透性にしているとのことでした。そして水害から名古屋を守るために雨水流出抑制のお願いの特別リーフレットを作成し,家庭でできる抑制の色々な方法を紹介し市民の協力を呼び掛けております。横浜市においても500平方メートル以上の開発者に指導して,レストランの駐車場での53トンの貯水やテニスコートでの貯水,今ではプール350杯分の10万トンにもなっていると説明を受けました。 京都は,渇水も浸水問題も他都市に比べて安易になっています。東京都墨田区は,まちに多くのミニダムをと呼び掛けて十数箇年の取組を通じ自己水源の確保,防災都市の推進,都市環境の再生のための雨水利用促進に当たっての基本計画を策定して総合的な取組を行っています。区が所有する建物は雨水利用を導入することを原則とし,既存の施設は区所有以外の公共建築物に対しても可能な範囲で雨水利用を導入する。10年前にオープンした区役所は,約5,000平方メートルの屋根に降る雨を1,000立方メートルの地下タンクにためてトイレの水に使い,区役所自体がダムになっているのです。そのほかの建築に当たっては助成を行うことで雨水利用を促進すると徹底しています。そして地域の防災強化,コミュニティの育成,地域緑化の推進等の観点から区民の協力による雨水の貯留と活用,貯水槽をあふれる水は可能な限り地下枡で浸透させるところまで取り組んでおります。区民は雨を尊ぶところから天水尊と呼ばれる天水桶などが区の助成措置を受けて普及しております。各人によって工夫され,雨水は散水,トイレだけでなく洗濯も雨水で十分という家庭も多く出ております。小規模の天水桶設置などに2分の1の上限2万5,000円の助成,中規模は30万円,大規模貯留施設には100万円を支援して今日では250箇所へ普及しております。要は雨水利用などの総合的な指針を作り,開発時にも企業,市民の協力を求めるために必要な指導と共に助成措置を講ずることではありませんか。全国的にも30余りの自治体で実施しております。京都市は,自主防災会も全市的に確立しており,ここでの取組や消防職員の指導も徹底するならば効果を上げることができます。地球環境を守る立場からも大型事業を見直す財政の立場からも大いに役立つものと考えますが,市長の考え方をお伺い致します。 次に,スポーツ振興対策で質問致します。これまでは平成元年に策定したみんなのスポーツに基づいて取組がされ,本年度は次期基本計画を補完する市民スポーツ振興計画の策定が進んでおります。私は,89年11月の本会議で市民スポーツ振興策全般を採り上げて,市民の誰もが,いつでもどこでも気軽にスポーツができる権利の保障,野球場,運動広場,テニスコートなど諸施設の設置目標と年次目標を持つ必要性,中学校や高等学校のグラウンドの夜間開放,障害者スポーツの振興など7項目にわたって質問致しました。その後の委員会でも,政令市比較では,スポーツ対策予算スポーツ施設数も使用料金もいずれも貧弱で高い料金であると指摘し,改善充実を求めてきましたが,この10年間,わずかな改善しかないのが残念であります。 国は,9月にスポーツ振興基本計画を初めて発表致しました。本来ならスポーツ振興法により文部大臣がスポーツ振興に関する基本計画を定めるとなっていたのに,法制定から40年の長期にわたって棚上げされてきたところに国と自治体のスポーツ施策が貧弱な水準で来た原因があり,この基本計画が急浮上して作られたのもサッカーくじ法の付帯決議で法に基づく基本計画の策定を求められたからであります。82年当時,国では126億円計上されていた公共スポーツ施設整備予算が年々大幅に削減され,90年には66億円,現在ではわずか25億円に切り下げられ,これを少しでも補うために91年に作られたスポーツ振興基金もわずかで,また低金利で思うような財源にならないので,新たな財源としてサッカーくじの収益を頼りにしていること自身が基本計画の実効性の程度が知れるというものであります。 ここでこれ以上基本計画の諸問題に触れる時間はありませんので,具体的な課題について質問致します。市民スポーツに関する意識・活動状況のアンケート結果では,スポーツ振興に望むことの問いに,施設の整備が43.4パーセントと圧倒的に多く,地域でスポーツを楽しむ機会を増やす26.7パーセントが続いております。また,居住環境の評価においては,体育施設,文化ホールなどの施設への不満度が一番高い42.7パーセントとなっております。質問の第1は,国の基本計画は,スポーツ振興の展開は総合型地域クラブを立ち上げ広域スポーツセンターを育成する。総合型地域クラブは中学校単位に会費制で運営し,クラブハウスを備えた学校や公共施設を拠点として複数種目を実施するなどの構想を打ち出しております。ヨーロッパ型を日本に持ち込んでどうなるのかと批判が多いだけに,本年度策定する振興計画との関係でどのように受け止めておられますか。 二つ目は,施設と使用料などの問題です。市体育協会会長計画策定委員会の場で,施設が少なくて京都が一番みすぼらしいと思うと発言されたように,施設が少ないという声にどうこたえていくかであります。施設ごとの目標と年次計画を立てて実行すること。一点豪華な施設ではなく,大きな施設よりも市民が近くで気軽に使える施設をという要望にこたえることです。同時に,今ある施設を工夫して有効に活用することです。中学,高等学校のグラウンドに夜間照明を設置して開放すること,スポーツ施設の利用を朝5時からや夜11時まで使えるよう時間の範囲を広げてほしい,水垂埋立地の活用が始まるまでの間,運動グラウンドとして利用させてほしい,大きな公園にバスケットゴールスケートボードができる施設を造ってほしいなどの切実な声にこたえるべきです。多くの経費を必要としないだけに実現すべきと考えます。 次に,市体協が各競技団体の女性代表と懇談した中でも問題になったのは,施設が少ないことと使用料が高いことでした。政令市の比較でもテニスコートの使用料は一番高く,野球場,総合体育館,陸上競技場は3番目から5番目と高いのです。来年度は公共料金の値上げが行われるのではないかとスポーツ関係者は心配しております。絶対に値上げすべきではないと考えますがいかがでしょうか。要望が強い少年スポーツの割引制度の新設と併せてお答えください。 一貫して我が党が求めてきた同和地区にある屋内体育施設の問題です。10箇所あるこの施設は,地域体育館同様に立派な施設だけに地域体育館として位置付けて多くの市民に利用できるようにすべきと考えますがいかがでしょうか。計画があって未整備になっている右京,中京,左京の3箇所の地域体育館の早期建設を求めます。地域体育館の利用率は90パーセントと市民によく利用されていて強い要望です。右京地域体育館イマジカ跡地に用地が確保されており,来年度には基本設計をして着工に足を踏み出すべきと考えます。財政問題を理由にしての先送りは区民の期待を裏切ります。建設への決意を伺います。 最後に来年3月末で京都市青少年活動センターを一方的に廃止しようとしている問題です。青少年の自主的な活動の振興を図る拠点の施設として自由に使えるロビーや音楽室,印刷室とここならではの部屋もあり,京都駅近くの利便性もあって多くのグループ活動に利用されております。下京区の総合庁舎化を理由にして廃止するというのですが,廃止に代わる施設を造らないで勤労青少年用に造られた青年の家を青少年活動センターと名前を変えるだけで,青年の家を利用したらよいという勝手な理由が通るでしょうか。利用団体の9割以上が困る,行く所がないと答え,活動センターを守る会を作り存続への取組をしているのです。青少年問題がとりわけ重要視されている今日,利用者の声も聴かずに一方的に廃止するのはやめて代わりの施設を造ってから進めるべきです。運営を委託しているユースサービス協会も代替えなしの廃止はのめないと市に要望を出しております。局長いかがでしょうか。併せて青少年人口が急増している右京,西京区の西部地域に青少年施設が必要と青少年協議会が指摘しております。具体化すべき施設なので強く要望して,第一質問と致します。(拍手) ○議長(二之湯智君) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼君) 加藤広太郎議員の御質問にお答え致します。 まず島津製作所五条工場跡地への大型商業施設の進出についてでございますが,島津製作所に対しましては,従来からまちづくりの方針の一つである商業集積ガイドプランを遵守すること,まちづくり条例の手続を終えてから大規模小売店舗立地法の手続に入ることを指導して参りました。まちづくり条例は,市民の代表である市会の審議を経て制定されたものであり,ガイドプランは学識経験者,消費者,商業者等の代表で構成された京都市商業集積検討委員会の報告を基に市会及び市民の御意見をお聴きしたうえで策定したものでございます。近代京都の産業,文化,教育の発展に大きく貢献されてきた島津さんは,同時に企業の社会的責任を大切にされる堅実な企業でもありました。この島津製作所が市民の代表である市議会において制定された条例やガイドプランを軽視ないしは否定するかのような見解を示されていることは誠に遺憾であります。今後とも島津製作所に対しましては,制度の趣旨を理解され,まちづくり条例の手続中は大規模小売店舗立地法の届出を行わず,まちづくりの方針に適合した開発構想に見直したうえで大規模小売店舗立地法の手続を行うよう引き続き強く指導して参ります。 次に,雨水の利用についてでございますが,雨水の利用は水資源の節約に寄与するだけでなく,災害時の非常用水の確保にも役立つものであります。また雨水を地下に浸透させ地下水を涵養することは健全な水循環を保全するうえで重要であると認識致しております。そのため新京都市基本計画及び新京都市環境管理計画などにも雨水利用をはじめとした水循環の保全を位置付けているところでございます。これら計画に基づきまして区役所総合庁舎や建設中の西京極総合運動公園プール棟及び仮称でございますが環境学習・エコロジーセンターなどの公共施設におきましては,雨水の貯留槽を設置し水洗便所の洗浄化あるいは屋外散水等の雑用水への利用を図って参っております。また幹線道路の歩道や公共建築物におきましては,雨水の流出の抑制及び地下水涵養を図るため透水性のある舗装の採用に努めて参っております。現在策定中の次期京都市基本計画にも雨水利用を盛り込むべく作業を進めているところであり,今後とも可能な限り雨水の利用をはじめ水循環の保全に向けた対策を推進して参る所存でございます。 以下,副市長及び局長が御答弁申し上げます。 ○議長(二之湯智君) 中谷副市長。 〔中谷副市長登壇〕 ◎副市長(中谷佑一君) 都市型浸水対策についてお答え致します。近年,都市化の進展により雨水の流出量が増大し都市型浸水が頻発しております。都市において市民生活の安全を守る浸水対策は,河川や下水道による基盤施設の整備を基本としております。しかし河川の能力にも限りがある中で,浸水から市民の生命,財産を守るためにはできるだけ雨水の河川への流出量を抑え,かつ流出時間を遅らせるための貯留機能を持った下水道雨水幹線の建設や地下貯留槽は不可欠のものであります。今後も河川整備と下水道事業の整合を図りながら必要な浸水対策を効果的,効率的に推進して参ります。なお議員御指摘のとおり市民の皆様との役割分担の観点から,民間住宅等で雨水の貯留や浸透による流出抑制が雨水対策として一層効果があると認識しており,民間の御協力等を得ることにつきまして他都市の事例等も参考に今後検討して参りたいと考えております。以上でございます。 ○議長(二之湯智君) 増田副市長。 〔増田副市長登壇〕 ◎副市長(増田優一君) まちづくり条例商業集積ガイドプランに関する御質問にお答え致します。この条例は,市会与党の先生方の大変な御尽力をいただいて本年6月1日から施行することができたわけでございますが,もし仮に共産党の皆さんが反対されたこの条例と,そして今なお撤回しろとおっしゃっておられる商業集積ガイドプランがなかったとしたら,島津製作所は思いどおり店舗面積3万6,000平方メートルを超える巨大な商業施設で大規模小売店舗立地法の手続に入っていたはずであります。(発言する者あり)その場合には商業施設そのものの立地の可否や店舗の規模については何ら審査することができず,市民の皆様の不安を解消する具体的な手立てを講ずることができない事態になっていたのではないかと考えております。(発言する者あり)今後まちづくり条例に定める手続に従い,開発事業者である島津製作所に対しまして関係行政機関とも連携を図りながら市の行政の総力を挙げて開発構想の見直しを行うよう指導して参りたいと考えており,条例そのものに,そして商業集積ガイドプランにつきまして現段階で見直す必要があるとは考えておりません。なお特別用途地区等の都市計画手法の活用につきましては引き続き検討して参りたいと考えております。以上でございます。 ○議長(二之湯智君) 高木副市長。 〔高木副市長登壇〕 ◎副市長(高木壽一君) スポーツ振興対策についてお答え致します。今年9月に発表されました国のスポーツ振興基本計画は,スポーツ振興法に基づいて長期的,総合的な視点から国が目指す今後のスポーツ振興の基本的な方向を示したものでございます。生涯スポーツ社会の実現に向けた方策と致しましては,成人が週1回以上スポーツを楽しむ割合を50パーセント,つまり2人に1人にするという政策目標を掲げ,それを実現するために総合型地域スポーツクラブを2010年までに全市区町村に設置することにしております。京都市におきましては,半世紀に及ぶ体育振興会の活動に見られますように,地域において年齢や性別を問わずニュースポーツも含めた複数の種目のクラブが既に活発に活動しておられます。こうしたことから国のスポーツ振興基本計画は参考指針と致しまして京都市独特の市民スポーツの風土に合ったスポーツ振興を図ることを基本に致しまして現在新しい市民スポーツ振興計画の策定に向けて計画策定委員会において議論していただいているところでございます。以上でございます。 ○議長(二之湯智君) 中野文化市民局長。 〔中野文化市民局長登壇〕 ◎文化市民局長(中野代志男君) スポーツの具体的な振興策についてでありますが,地域体育館をはじめとするスポーツ施設の整備につきましては,地域体育館の全市的な配置計画に基づき順次建設を進めるとともに,西京極総合運動公園プール施設の整備にも全力を傾注しているところであります。今後の施設の整備を考えますと,これまでにない極めて厳しい本市の財政状況の下,様々な見直しを進めなければならないと考えております。また地域体育館以外のスポーツ施設の整備目標や年次計画の策定につきましては,現時点では困難であると考えておりますが,学校施設をはじめとする既存施設の有効活用,公園整備との連携などを通じて市民が身近にスポーツに親しめる環境の整備方策を検討して参りたいと考えております。 次に,青少年活動センターについてでありますが,同センターは,下京区役所の総合庁舎化に伴い保健所を移転させるため廃止するものであります。これは市内にあります7箇所の青年の家の利用状況の低下等により平成10年度から事業の見直しなど段階的に改善策の取組を進めて参った一環として行うものであります。今般,青年の家の更なる有効活用を図るため青年の家の名称の変更,利用者年齢の引下げ,事業内容の見直しなどを行い,青少年活動センターの機能を各青年の家において所管させようとするものであります。御指摘にありますように単に名前を変えるのではなく,青少年の自主的な活動などを支援する青少年施設として運営していく考えであります。今後,利用者に対しましては改正の趣旨,施設利用等について十分周知して参る所存でございます。以上でございます。 ○議長(二之湯智君) 加藤君。 〔加藤広太郎議員登壇(拍手)〕 ◆(加藤広太郎君) 市長の答弁は当然ですけれども,今の副市長の答弁は,条例審議で私たちが指摘した問題の数々を知りながら,テレビを使って事実に反したもので絶対に許すわけにいきません。(発言する者あり)先ほどの質問でも述べたように,当議員団は京都のまち,住環境を守る立場からもこれ以上の大型店の誘致は駄目だ,京都を守るという立場で頑張ってきた。そのために議会で徹底的な議論を求めてきたという経過があります。今後の委員会でしっかりやります。どうもありがとうございました。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(二之湯智君) 次に,市政一般について,中村かつみ君に発言を許します。中村君。 〔中村かつみ議員登壇(拍手)〕 ◆(中村かつみ君) 私は,日本共産党京都市会議員団を代表して市長並びに理事者に質問致します。 まず京都の経済,とりわけ経済の主役である中小企業の現状と問題点について質問致します。10月28日,繊維卸の名古屋の鳴河と東京の荒庄鳴河が自己破産を申請しました。負債総額370億円,和装卸の倒産としては戦後最大級であり,既に京都の卸問屋の星久が30億円,西陣織の坂井芳が18億円,昨日西陣の丸池が自己破産を申請し40億円と連鎖倒産が続き業界と関係者に衝撃が走っています。今全国の倒産件数,負債総額,失業率はいずれも戦後最悪水準です。中でも中小企業のまち京都は,和装業界の大型倒産や2信金の破綻など深刻な事態が続き正しく京都の経済は危機的な状況になっています。 〔二之湯議長退席,今枝副議長着席〕 ◆(中村かつみ君) (続)今年に入ってからも毎月40件以上の倒産が続き過去最高という記録を現在更新中であり,完全失業率も全国平均が4.7パーセントに比べて京都を含む近畿では6.1パーセントと全国一高い水準です。90年代の10年間だけ見ても,政府は消費税の増税,超低金利政策,大企業のリストラ支援,そのうえ医療費や年金,介護保険など社会保障の負担を連続して押し付け,中小業者の営業と国民生活を破壊してきました。またあらゆる分野で弱肉強食の規制緩和を進め,日本のものづくり経済と地域経済を破壊してきました。ものづくりを中心にした京都経済は,91年では10万2,000軒あった事業所が9万700軒に1万1,300軒も減り,10軒に1軒の割合で減少したことになっています。従業員数も82万3,000人から70万7,000人と減少し11万6,000人が職を失ったことになります。これはいずれも全国平均や大都市平均を大きく上回る減り方であり,いかに京都経済が深刻かを示しています。政府は今,経済対策と称して3兆8,000億円の補正予算を国会に提出していますが,内容は相も変わらず公共事業の大盤振舞いです。90年代以降,このような経済対策を9回も行い120兆円もの税金を投入してきました。これまで一部の大企業は確かに潤ったのでしょうが,国民の暮らしは冷え込む一方です。このやり方では景気が回復しないのは現状を見れば明らかです。景気回復の決め手は経済全体の64パーセントを占める個人消費を高めることです。今その対策が求められているのに,それができないのが自公保政権です。こうした自民党による経済運営は日本経済に異常なゆがみを作り,今や日本経済のまともな発展にとって深刻な障害となっています。市民の暮らしと中小企業を切り捨て,大型公共事業を優先し借金を増やすばかりの政治を転換することが必要ですが,政府の経済運営に最も忠実であるのが京都市政であり,市長あなたではありませんか。 そこでお尋ねしますが,市長は今日の深刻な長期不況が政府の失政によるものだと認識しているのですか。また京都の経済の落込みが全国と比べても危機的な状況であるとの認識はあるのですか。市長の答弁を求めるものです。同時に今何が求められているかです。最も大切なことは,市長たる者の決意と姿勢であり抜本的な対策です。例えば全事業所の実態調査を行った東京墨田区は,企業台帳を年々充実させ,日産自動車村山工場の閉鎖が問題になったとき,直ちに台帳に基づく実態把握に踏み出すなど具体的な施策を生かし業者を励ましています。本市もこのような対応を打つことが必要ではないですか。京都経済再生のためにも市長を本部長とした不況対策本部を全庁挙げて設置すること,そして訪問による全事業所の実態調査を行うことです。併せて答弁を求めます。 市長は,財政難を口実に過去2回の大リストラを強行し,更に新世紀に向けた市政改革大綱と称して新たなリストラを発表されました。その財政難の理由に不況による税収の減少を挙げておられますが,そもそも税収の減少は,法人市民税を見ますと法人税割調定額は90年と比較して98年は136億円も減っています。問題はその内容です。資本金10億円以上の法人の税収はわずか6億円の減少に対して資本金5,000万円以下の中小法人の税収は104億円も減少しています。このように税収面から見ても中小企業の経営がいかに深刻になっているかがはっきりしています。ところが市政改革大綱の中には信用保証料補給金を見直す方向を打ち出しています。無担保無保証人の融資額100万円以下について保証料の半額が補給されているものです。市長は,不況対策に全力と言いながら,零細業者の零細な融資を狙い撃ちしたリストラとは余りにもひどい仕打ちではありませんか。不況対策をやる気がない証拠ではありませんか。むしろ拡充すべきです。中小零細業者に打撃を与えるこのようなリストラは撤回し,中小企業や零細な業者を支援する経済対策への転換で京都経済を立て直すことによって税収の増加の道が開けるのではありませんか。こんなひどいやり方は許せません。撤回を求めるものです。 質問の第2に,緊急対策としてみやこ信用,南京都信用金庫の破綻に対する問題と目前の年末対策の2点について提案し質問致します。第1点は,みやこ,南京都両信用金庫の破綻にかかわる対策です。新聞報道によると,事業譲渡は債務分類によって約1割の1,600件から1,800件が整理回収機構いわゆるRCC送りと言われています。RCC送りを通告された方は,30年来の取引なのに担保割れを理由にRCCに送ると言われた。まじめに返済し黒字なのになぜだ。RCC送りを通告され目の前が真っ暗になった。自殺も考え夜も寝られない。金融機関はRCCについて何も説明してくれないなど譲渡手続が進む中,業者の不安と悲痛な声が広がっています。今,相談窓口を設置し対応されていますが,RCC送りの通知を受けた業者の方が相談に行かれたら,相談員は,自分も勉強中で分からないと言われた。京都中央信用金庫は保証協会の保証があれば引き取ると言っているので協会を紹介してほしいと相談したら,うちと協会は関係ないという態度だったということです。これでは全く対策になっていない。無力感を感じたと怒って帰られたそうです。業者にとっては正に生きるか死ぬかの思いで相談に来られているわけですから,もっと真剣に対応する必要があります。これは現場職員の問題ではありません。2信金問題に対してこれまで万全を期すと言うばかりで具体的な支援策を示していない市長,あなたの姿勢が大きく問われているのです。 我が党議員団は近畿財務局に要請,10月の26日と27日に2信金の事業譲渡は京都経済に重大な影響を生じさせている。2信金の顧客が営業を続けられるよう安定化融資制度の継続と保証枠拡大に資金投入対策を求めるよう政府と通産大臣に直接要請を行ってきました。近畿財務局は,約1,000億円あれば融資を継続できる。また受ける側の中信の常務は,保証協会の保証があれば譲渡を受けると言っています。このように対策を打てば犠牲者を出さずに済みます。また事業譲渡は政府・金融監督庁の指導の下で進められているわけですから政府の指導も問われます。同じ金融機関の破綻処理の仕方でも大手の旧長銀など都市銀行には70兆円の支援枠を確保し全額譲渡しています。北海道拓殖銀行の場合は,政府の指導によって地元経済に甚大な影響を与えるとして債務額5,000万円以下は無条件で継続しています。更に民間のそごう百貨店や大手ゼネコンにも数千億円を超える支援を行っているわけです。市長,このままでは京都の地域経済に打撃を与えることは必至です。政府はなぜ京都の2信金破綻に対しては支援をしないのですか。債務者の全員が営業を継続できるよう安定化融資制度の継続と保証枠拡大に資金投入を市長が先頭に立って政府に緊急に求めることが必要です。市長の決意をお聞かせください。 また9月議会では,信用金庫再編に関する決議が全会派一致で採択されました。昨日の本会議においても信用金庫の破綻に伴う債務者の支援等求める請願が全会派一致で採択されたところです。現場の相談員にとっても融資のあっせんや銀行の紹介など具体的な対応ができない仕組みとなっていることが問題になっているわけですから,中小企業や債務者からの切実な相談に対応するためきめ細かな対応ができるよう相談体制を更に拡充強化すること,整理回収機構に送られた債務者に対しても独自の特別融資を創設するなど具体的な手立てを打つこと,また雇用確保に対しても最大限の努力を行うことなどが求められます。答弁を求めます。 緊急対策の2点目は,駆け込み資金です。夏季歳末特別生活資金の問題です。かつてない厳しい年末を前に何とか市民と中小業者が年を越せるよう駆け込み資金の増額と貸付期間の延長が求められています。この制度が出来て33年になります。貸付限度額を最高15万円に引き上げたのは90年ですから既に10年もたっています。今日の深刻な状況を踏まえるなら,せめて限度額を30万円に引き上げることが求められています。受付期間,支払日を年末ぎりぎりまで延長する特別の措置と体制を採ることが必要です。答弁を求めます。 質問の第3に,伝統地場産業の振興について質問致します。今日の不況は京都のものづくりの経営基盤に深刻な影響を与え,京都の伝統地場産業は大きな岐路に立っています。とりわけ伝統的工芸品産業の振興に関する法律いわゆる伝産法に基づき通産省が指定する西陣織や京友禅,京焼,清水焼をはじめとする17品目の伝統的工芸品の生産額は大きく落ち込んでいます。通産省の資料によると生産額は90年の43パーセントにまで落ち込んでいます。事業所数は90年の53パーセント,従業者数も44パーセントといずれも大幅に減少し,京都の伝統的工芸品の全国に占める割合も生産額では全国の52パーセントから47パーセントと5割を切り大変厳しいものになっています。こうした京都の伝統地場産業の落ち込みは,京都のまちの機能と市民の暮らし,福祉を著しく低下させ,このままでは京都の産地機能そのものが衰退し,長い歴史と伝統産業の基盤そのものが崩壊する危険すら生まれています。全国では行政と関係者が力を合わせた産業振興策の策定又は振興条例を制定し,地場産業の発展に大きな力となっていることが報告されています。例えば石川県では九谷焼や山中漆器など伝統産業の分業の一つ一つの工程に専門技術者支援を行っています。我が党議員団は,これらの全国の経験から学び,京都市においても伝統地場産業を名実共に基幹産業に位置付け,それにふさわしい対策を行うべく10項目の具体的な基本方針を示した京都市伝統・郷土産業振興策の提言を昨年2月に発表しました。今,伝統的工芸品17品目の各業界から,業界の現状や組合での取組,行政に対する要望などを中心に対話を行っています。その中で共通して出されたのが経営環境の厳しさと高齢化,後継者問題の悩みと将来への見通しに対する不安でした。京都市への要望では,伝統産業に対する京都市の姿勢が見えてこない。つまり伝統地場産業の振興策がないということです。ある組合の幹部は,補助金はありがたいが,むしろ現状をきっちり調査し,将来を見据えた京都の産業としての方針を示してほしいと訴えておられました。京都経済同友会代表も新聞紙上で伝統産業の活性化がなければ京都全体の景気回復は実感できない。倒産が続き雇用環境も悪い。今後は地域特性に即した景気刺激策が必要と伝統産業の活性化を求めています。伝統地場産業の事業者と従業員の営業と暮らしを守るための振興策は急務です。先ほど紹介した石川県では,伝産法指定品目に限らず独自に圏内の伝統地場産業の実態をつかんでいます。東京墨田区では振興条例に基づき中小企業を地域経済の主役と位置付け支援しています。京都でも,そうした実態掌握を行うとともに,伝統地場産業を京都の基幹産業に位置付け,京都市と事業者の責務を明確にした京都市伝統・郷土産業振興条例を制定することが求められています。市長の答弁を求めます。なお,鳴河・荒庄鳴河の破綻の影響は,室町を中心にした西陣織や京友禅など和装業界に深刻な影響を与えており,この年末を乗り切るためにも緊急対策が求められています。既存の融資制度と和装産業経営安定特別融資枠の拡大と改善など特別対策が必要と思いますが,併せてお答えください。 質問の最後は京都御苑への迎賓館建設の問題です。昨日,京都御苑の用途地区の変更条例が与党会派によって強行されましたが,迎賓館の建設は無駄と環境破壊の最たるものであり,市民の声を無視した道理のない強引な進め方も問題であります。 迎賓館は,国賓級の方に利用される施設であります。東京赤坂に既にある迎賓館は89年,平成元年以降,11年間で39回,年平均7.8回しか利用されていません。そのうち京都に来られた方は年間数人で,この数年は宿泊された方はないということです。また諸外国では,例えばドイツなどでは維持費用が高く付くことから迎賓館を売りに出しているそうです。そもそも京都御苑内にある大宮御所は,皇室や国賓の迎賓,宿泊施設に充てられており,またすばらしい庭園を持っている仙洞御所もあるわけですから,こんな不況の折に年間わずか数名に満たない利用者のために220億円もの税金を投入してまで二つ目の迎賓館を造る必要がないという市民の声は当然であります。(発言する者あり) 昨日の本会議で,我が党に対し京都の伝統地場産業の振興を口にしながら建設反対は理解に苦しむと発言されましたが,むしろ逆です。無駄な迎賓館建設をやめて,その建設費を伝統地場産業の振興対策に使うことこそ必要であります。(発言する者あり) 環境破壊という点でも深刻です。京都御苑内には,法律で保護が義務付けられている大鷹が飛来し,絶滅が心配されているタシロランの繁殖地でもあり,都市の中では見られなくなったカンサイタンポポなども繁殖しています。更に10月26日,京都御苑内でサギゴケ属の新種を京都成安高校の米沢信道先生が発見され,かわせみそうと命名されたことが新聞に報道されていました。京都御苑は世界の大都市の中でも有数の豊かな自然態系を持った公園です。この貴重な自然環境を市民や利用者のために守り発展させることが国と京都市の本来の役割ではありませんか。更に建築予定地からは日本にただ一つしかない公家町の遺構が出土し,専門家からも保存すべきとの意見が上がっています。迎賓館建設はこの貴重な遺跡をも破壊しようというものです。10月19日,京都弁護士会から京都御苑内の迎賓館建設についていったん中止すべきとの意見書を市長は受け取られたと思います。京都弁護士会が意見書を提出するのは3度目であり,これを見ても異常なことだと言わなければなりません。この意見書には,一施設の建設のために用途地域を変更することは,都市計画法の目的である都市全体の整合性の確保から見ても余りにも便宜的で一貫性を欠くと京都市が都市計画の変更手続をすることに問題があると指摘しています。京都御苑への迎賓館建設計画に以前は賛成だった人も,今では反対されている方がたくさんおられます。京都経済界の幹部からも凍結してはという声が出ているほどです。 広告縦覧は昨日締め切られ,京都市,京都府に1万通を超える市民からの意見書が提出されました。市長は,先の2月市会本会議で,21世紀初頭の我が国の木造建築の代表的なものになる。将来の国宝になる。市民の誇りになる。昨日は自民党議員の質問に,平成を代表する和風建築として21世紀の発展に重要な施設になると答弁されましたが,これは木造建築ではありません。鉄筋コンクリートの建物です。貴重な自然態系や文化遺産を破壊して何が国宝でしょうか。鉄筋コンクリートで平成を代表する和風建築ですか。年間300万人以上の市民や国民が利用する国民公園です。その市民や利用者を排除して年間わずか数人の利用者のために220億円もの税金を投入する。そのためには無理やりに都市計画を変更する。こんな京都迎賓館を建設すれば,市民の誇りどころか京都破壊の市長として市民の記憶に長くとどまることでしょう。迎賓館建設の撤回を求めて,私の第一質問と致します。(拍手)
    ○副議長(今枝徳蔵君) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼君) 中村かつみ議員の御質問にお答え致します。 京都経済の現状認識等についてお答え申し上げます。我が国の経済は,これまでの政府の大規模かつ切れ目のない迅速な景気回復策により厳しい状況はなお脱しておりませんが,全体としては緩やかな改善が続いていると存じております。一方,中小零細企業主体の京都市の経済状況につきましても,IT関連など一部の企業,業種において回復の兆しが見受けられるものの,おっしゃるとおり和装業界をはじめとする伝統産業の低迷や地元信用金庫の再編に見られるように景気回復の足取りは極めて重く,依然として誠に厳しい状況にあると認識致しております。私は,中小零細企業を中心とした京都経済の活性化をこれまでから市政の最重点課題の一つとして掲げ,一日も早い景気回復を図るため国の景気対策に連動した取組だけでなく,京都市独自の政策として不況対策はもとより活力あるベンチャー企業の創出,伝統産業の活性化,地域に密着した商業や観光の振興など幅広い経済振興策に取り組んできたところでございます。今後も引き続き全力を傾注し頑張って参りたいと思っております。 以下,副市長及び局長が御答弁申し上げます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 増田副市長。 〔増田副市長登壇〕 ◎副市長(増田優一君) 国立京都迎賓館についての御質問にお答え致します。国立京都迎賓館は,昨日も桝本市長が御答弁申し上げましたとおり,海外からの賓客に日本に対する幅広い理解を深めていただくため国において全額国費により京都の地に建設することが決定されたものであり,平成を代表する和風建築として21世紀の京都の発展に欠くことのできない施設であります。何点か具体の御指摘がありましたので,それぞれ簡潔にお答え致しますが,まず京都御苑の自然環境につきましては,国において平成6年から継続して各種の環境調査が行われており,先般何ら影響がないとの国の調査結果が公表されたところであります。また間もなく調査が終了する埋蔵文化財調査につきましても,出土している屋敷跡等は比較的新しい江戸時代以降のものであって,保存すべき遺構は出土しておりません。また都市計画の変更手続につきましても,迎賓館を都市計画施設として位置付け,都市計画施設相互の調整や公共性を考慮し都市計画公園や用途地域等の変更を行うことはごくごく通常の手続でございまして,(発言する者あり)これまでも数多く実例がありまして手続上何ら問題はございません。 以上のとおり議員の御指摘につきましては事実認識におきましても法律の運用という面におきましても何ら根拠のないことでございます。(発言する者あり)なお先ごろみやこめっせで展示致しました迎賓館の完成予想模型を御覧いただきました市民の方からも立派な迎賓館を一日も早く完成させてほしいとの声が数多く寄せられており,21世紀の京都が世界に誇る国立京都迎賓館の早期完成に向けまして今後とも全力で取り組んで参ります。以上でございます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 高木副市長。 〔高木副市長登壇〕 ◎副市長(高木壽一君) 不況対策本部を設置せよとの御意見でございますが,京都市は,これまでから市長を中心に全庁的に不況の克服を念頭に置いて事務事業を推進しているところでございまして,その取組状況は随時局長会等において情報交換を行っております。今後ともこの体制で各局の施策の効果的な推進を図ることによって景気回復に向けて取り組んで参ります。また事業所の調査につきましては,産地診断事業や西陣機業調査などの実態調査のほか,これまでから職員が西陣や室町などの業界や地域の商店街などへ足を運び幅広くきめ細かなヒアリングを行って参っております。今後とも画一的で大規模な調査よりはむしろ問題が発生するごとに関係する業界の状況を迅速に把握するように努めて参ります。以上でございます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 西口産業観光局長。 〔西口産業観光局長登壇〕 ◎産業観光局長(西口光博君) 信用保証料の補給金についてでございますけれども,無担保無保証人融資制度は,実施して以来数回にわたりまして率の引下げを行うなど利用者の負担の軽減を図ってきたところであります。信用保証料につきましては,本来金利と同様利用される方々に御負担いただくものであり,制度間の負担の公平性の観点から今後見直しを行うものであります。 次に,信用金庫の事業譲渡につきましては,京都経済にとって極めて重要な問題であることから,市長の指示の下,事業譲渡を発表された後,直ちに相談窓口を開設致しまして中小零細企業の方々からの相談に応じてきたところであります。また京都府と一体となりまして連絡会議を立ち上げ,関係3信用金庫に対しまして円滑な資金供給に特段の配慮を強く要請するとともに,金融監督庁等には事業譲渡がスムーズに進められるよう要請して参りました。この結果,金融機関の再編に当たりましては,全国で初めての国の主催によります連絡会議が開催されることになり,近畿財務局等にも相談窓口が新たに設置されたところであります。更に金融安定化特別保証制度の活用につきましても京都府と共に通産省に対しまして保証枠の拡大を強く要請し,3,000億円という大幅な追加を獲得することができました。京都市と致しましても,債権の振分け作業が本格化する中で10月には毎週3回専門家による経営特別相談窓口を開設致しまして相談体制の強化に努めてきたところであります。今後は整理回収機構へ移管された後の様々な相談に対しまして当該窓口を活用し支援して参りたいと思っております。また大蔵省,金融庁,預金保険機構,整理回収機構等に対しましては整理回収機構へ引き継がれる中小企業者等へのきめ細かな対応を要請し,更に中小企業庁に対しましては,地域の実情に対応できる信用保証制度の更なる拡充,強化などにつきまして一層の尽力を要請して参りました。9月市会最終本会議で信用金庫再編に関する市会決議がなされましたけれども,この趣旨を十分踏まえ,今後とも国や府,信用保証協会との緊密な連携の下にあらゆる制度を最大限活用致しまして,より一層きめ細かく対応して参ります。 伝統地場産業の振興についてでございますが,京都市におきましては,これまでから伝統産業を基幹産業の一つと位置付け,その振興に向けて最大限の取組を行っているところでございます。御指摘の伝統産業業界の実態把握につきましては,先ほど高木副市長から答弁致しましたとおり,常日ごろから業界の実態把握に努めているところでございます。また伝統地場産業振興条例の制定は現在考えておりませんが,本市の伝統産業振興策につきましては,これまでから長い歴史を持っているところであり,これらの積み重ねを生かして総合的に取り組んで参ります。今後とも優れた技術を生かした新しい商品の開発や染織デジタルアーカイブ事業など新しい試みも含めまして積極的に取り組んで参ります。 次に,大手和装卸業者の破綻についてでございますが,京都におきましても連鎖倒産が発生するなど関連業界に与える影響が大きく大変危惧しているところでございます。相次ぐ室町和装卸売業者,更には西陣産地問屋等の倒産への対応につきましては,京都市独自の取組として京都市小規模事業金融公社によります和装関連業者経営安定特別資金融資などの活用を通じまして和装関連事業者の方々の資金調達の円滑化に努めているところでございます。また京都府及び業界団体との対策会議の中で業界自らが行われます流通取引改善を支援するために和装産業経営改善特別融資などを積極的に運用しているところでございます。今後とも引き続き業界並びに関係団体と十分に連携し,今回の倒産につきましても京都の和装業界への影響を最小限に抑えるように万全を期して参ります。以上でございます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 井尻保健福祉局長。 〔井尻保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(井尻浩義君) 夏季歳末特別生活資金貸付制度についてお答え致します。この制度は,無利子無担保無保証人で市民の皆さんにお盆やお正月などの一時的な生活資金として御利用いただいているものであります。景気の先行きがなお不透明な中,ここ数年申請件数が増加していることから,市民の皆様のニーズに十分におこたえできるよう11年度におきましては追加の予算措置を講じるとともに,12年度におきましても当初予算を大幅に増額したところでございます。また,この制度につきましては貸付限度額や貸付条件などの点で他都市と比べて充実した内容であることや現在の本市の大変厳しい財政状況を勘案しますと,貸付限度額の引上げ並びに貸付けの通年化を実施することは困難であります。以上でございます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 中村かつみ君。 〔中村かつみ議員登壇(拍手)〕 ◆(中村かつみ君) 私は,京都経済を立て直すには市長の決意と姿勢が大事であることを求めたのですが,市長の答弁はありませんでした。認識の問題でも政府と同じ緩やかに回復するという姿勢で,市長がそのような認識だから京都の経済はひどい状況に陥っているのであります。今日の危機的な状況を打開するためにはまず現状をしっかりと把握すること,そして的確な対策を打つためにも実態調査と併せて全庁挙げての対策本部を設置して対処することが求められます。そのことを指摘しておきます。 2信金対策の問題でも不十分です。事の重大性が認識されていないと思います。まじめに返済している,資金繰りに困っていると真剣に訴えておられるわけです。相談体制を整えることと同時に融資あっせんや金融機関の紹介など必要とするのは当然です。このことを求めて私の質問を終わります。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(今枝徳蔵君) 次に,市政一般について,山口幸秀君に発言を許します。山口君。 〔山口幸秀議員登壇(拍手)〕 ◆(山口幸秀君) 昨晩から本日早朝にかけ国会の成行きを心配し,ほとんどの京都市民の皆さん方はテレビの前にくぎ付けになり,恐らく睡眠不足であろうかと存じます。議場の皆様も同様と存じますが,これが現在の日本の政治状況と思えば残念でなりません。国会と違って146万京都市民の皆さん方の立場に立って20世紀最後の京都市会を飾るにふさわしい立派な議会になりますことを心から願ってやみません。 昨年から今年にかけて1年間副議長をさせていただいておりましたので質問する機会がありませんでした。久しぶりに登壇させていただくことができました山科区選出市会議員の山口幸秀でございます。民主・都みらい市会議員団を代表致しまして同僚砂川議員共々質問を申し上げますので,市長並びに関係理事者の抽象的答弁ではなく具体性のある明確な御答弁をお願い申し上げたいと思います。 まず最初に新世紀を迎える桝本市長の心構えについてお尋ね致します。いよいよ21世紀の幕開けの時期が参りました。昨年末には本議会の議決を経て21世紀の最初の四半世紀に京都が目指すべき道を示す京都市基本構想が発表されました。わたくしたち京都市民はで始まり,市民が主役のその内容は,第1章では京都市民の生き方として,21世紀を迎える大きな転換期の中にあって京都市民の姿勢の在り方,市民が得意とするもの,これからの市民の生き方を誘導し,第2章では市民のくらしとまちづくりとして,安らぎのある暮らしと華やぎのあるまちづくりを進めるまちの基盤づくりを掲げ,第3章では市民がつくる京都のまちとして,市民の市政への主体的な参加を求め,そのための仕組みと形の在り方,市民と行政の厚い信頼関係の構築で構成された京都市基本構想となっております。 21世紀最初の四半世紀は,本構想で京都市のまちづくりを誘導していかれますが,今日の社会と経済の情勢は予想をはるかにしのぐような形で変動致しております。このような中で京都市のあるべき姿とはどのような形のものをイメージされているのか,すなわち今後100年を経て22世紀の京都のまちをどのような形にしたもので迎えようと思われているのかお伺いしたいのでございます。桝本市長さん,あなたは行政マンから出馬された市長ですが,今や立派な政治家市長として変身されました。政治家として決断と実行,市民の目線に立った市政運営,市民感覚を大切にした市民の声の届く身近な市長として活躍されています。政治家市長には政治家としての高い志と,そして市民に夢とロマンを与えることが何よりも大切だと思うわけでございます。桝本市長,あなたはこの20世紀から21世紀にかけて市政を担当されるという誠に幸運に恵まれた市長でございます。その意味で次のミレニアムに生きるであろう未来の京都市民から,100年前の桝本市長は大変立派な市長さんであったと評価される市長であってほしいと思うのは私だけでなく市長与党とあなたを支持して選挙を戦った多くの市民の皆さんの願いでございます。 そこでお尋ね致します。桝本市長,あなたは100年後の市民から立派な市長さんであったと高く評価をいただくためにどんな夢やロマンを市民に与えようとされているのか,あなたの明快な言葉でテレビを通じ市民の皆さん方に語っていただきたいのでございます。 次に,京都市基本計画についてお尋ね致します。先ほど少し触れましたが,京都市基本構想を発表され,この構想の実現に向けて積極的に取組を進めるため,いよいよこの構想に基づく21世紀最初の10年の計画すなわち京都市基本計画第2次案が示され,この年末には最終答申が出されます。基本計画につきましては,構想で示された市民の望むこれからの暮らしとまちづくりを着実に実現していただくためにも実効性の高い計画にする必要がございます。そのためには,審議会の委員の方々や市民の皆様からの意見の集約は大切なことであり,私もそのような手法については賛同致しますが,都市づくりの基本の考え方であると思いますのは都市像のとらえ方でございます。都市の持つ生い立ちや歴史や環境などは都市都市により異なるものがあるかと思います。都市像をどのようにとらえるかによってまちづくりの手法や行き先や方向も変わるものと思います。地方分権の推進により,これから先,産業も観光も文化なども含め都市間の競争が激しくなることは当然のことと思います。また財政も行政需要も,何かに付けて厳しくなる今日,特に近畿の大阪市や神戸市との競争も激しくなり,計画を策定されるに当たり,大阪,神戸,京都の3都市の都市像の違いをどのようにとらえて盛り込んでいかれるのかお伺いしたいと思います。 また21世紀最初の10年の基本計画は,次の10年の計画の柱となる大変重要な計画と考えております。今,私たち京都市民が大変親しみ評価致しております命の水を運ぶ疏水の開通にも匹敵する思い切った施策をお願いしたいものでございます。地下鉄の延伸などハード面の整備もその一つとは思いますが,京都市民が安心して暮らせるまちにするための都市づくりの発想は何もハード面にこだわることはないと思います。21世紀は人権の時代とも環境の時代とも言われております。 そこで以下の点についてお伺い致します。まず一つは,どのような理念を持って基本計画を策定されようとしておられるのか。継続的に発展が可能な京都の都市像が明らかになるように明快にお答えいただきたいと思います。二つ目は,あなたの市長選挙における160項目の公約と基本計画はどのような関係,整合性があるのかお答えいただきたいのでございます。三つ目は,基本計画における目玉とも言える施策,政策はどのような内容なのか,どこに焦点を合わせて市政を進めていかれるのか,現時点で明らかにできる範囲で結構でございますので市民の前に明らかにしていただきたいと思います。 次に,京都市財政についてお尋ね致します。私は,昭和50年に市会議員に初当選させていただいて以来,幾度かの本会議での質問あるいは委員会質疑では必ずと言っていいほど財政問題についてお聞きして参りました。昭和50年当時の市債残高は中央卸売市場第一市場,第二市場などの特別会計や水道,交通などの公営企業特別会計をすべて含めまして約2,800億円であったと記憶致しております。当時の人口も今と同じく146万人でありましたので市民1人当たりに直しますと約20万円の借金でありました。以来,市債の発行は毎年その額を増やし続けまして現在11年度決算では実に一般会計では過去最高の9,141億円に達しておりまして,他の特別会計すべてを含めますと市債残高は2兆700億円となり,市民1人当たり142万円になるのでございます。私の議員生活20有余年の間に実に7倍に増えたのであります。このように本市の財政状況は,景気の低迷などにより市税収入が対前年度比で100億円もの大幅減になるなど厳しい財政状況の中で,基金の取崩しなどによって財源を確保したにもかかわらず実質収支では3億9,500万円の赤字決算となり,第2次オイルショックの影響を受けた昭和57年度以来実に17年ぶりの赤字決算となるなど,ここ数年例を見ない状況でございます。また平成12年度予算につきましては42年ぶりのマイナス予算の編成となり,税収の増加は見込めず,財政調整基金など財源不足対策として取り崩すことのできる基金残高も底を突く状態であると伺っております。 本市財政の特徴を一口で申し上げますと,市税収入が安定的な財源であります。固定資産税の占める割合が他都市に比べて低く,景気の低迷による影響を受けやすい構造になっていることや長引く不況の影響による個人市民税,法人市民税の減少などにより大幅な減収となり,歳出面では公債費などの義務的経費,施設の維持管理費などの増加,既存事業の実施に必要な財源の確保などにも困難な状況の中で,更に少子高齢化社会への対応,環境対策など財政需要は年々増加する状況にあり,本市財政は依然として厳しい状態が続く状況でございます。このような状況の中で,市長は平成13年度の予算編成をどうされていくのか,21世紀の最初の年度であり,160項目に及ぶ市長公約の実現や基本計画の初年度枠組みをどのようにされていくのかでございます。 そこで本市の財政状況について以下の点についてお伺いしたいと思います。一つは,平成13年度予算編成に伴い430億円にも及ぶ財源不足をどのように克服されるのかお伺い致します。二つ目は,国に対する要望活動,とりわけ地方の自主財源の拡充に対してはどのように要望などを展開されていかれるのかお伺いしたいと思います。三つ目は,市税の滞納額は139億円にも上っている状況の中で税の公平性を保つ意味から大型滞納者の整理,効率的な徴収体制の強化が一層必要でございます。どのような体制を組まれ,どのように徴収しようとされているのかお伺い致します。四つ目は,他都市で検討されている外形標準課税,産業廃棄物処理税,レジ袋税,自動販売機税,観光税,入市税などの新税を本市でも検討されているのかお伺い致します。五つ目は,この財政状況を克服するためには市民の目線に立った行財政改革の積極的な取組が必要であると思われますがいかがですか,お伺い申し上げたいと思います。 次に,第三セクターの問題についてお伺い致します。外郭団体の主たる問題点は,株式会社形態のいわゆる三セクを中心に景気の低迷も考慮することができますが,いかんせん経営状態が悪化していることであります。市会や市民に対する説明責任という観点から,外郭団体の運営などの情報提供が不十分であったことを指摘せざるを得ないと思います。これまで外郭団体に対する指導監督や外郭団体の経営状況などを把握し評価,点検する機能が不十分であったことが挙げられます。今後は経営状況が深刻化しないよう事前に課題を明らかにし,先手先手で改善策を講じていく必要があると思います。こうした点を踏まえ,市政改革行動計画の中でも検討されていることは承知しておりますが,外郭団体再整備計画において外郭団体経営改善支援チームを設置され学識経験者や公認会計士などの専門家のノウハウなどをお借りしながら外郭団体の経営状況の点検,強化などを行い,外郭団体の自主的な経営改善を促す経営評価システムを導入され経営健全化に向けた改善策を外郭団体と共に取組をされていると伺っております。中でも累積欠損金の状況から見ますと京都御池地下街株式会社は9億2,000万円,京都醍醐センター株式会社は5億円,京都駅南口再開発株式会社は3億7,000万円,株式会社山科駅前再開発は3億2,000万円の累積欠損金を抱えております。また11年度の当期利益の状況についても軒並み赤字決算であり,特に京都御池地下街株式会社は6億円の赤字決算となっておるのでございます。赤字経営となってきた要因をどのように分析され,どのような指導をされてこられたのかお伺いしたいと思います。特に経営状態の悪い京都御池地下街,醍醐センター,京都駅南口再開発,山科駅前再開発各株式会社について今後どのように対応していかれるのかお伺い致します。経営改善のできない外郭団体はいっそ清算に踏み切るなど厳しい法的措置を採らざるを得ないのではないかと考えますが,御所見をお伺い致します。 次に,土地開発公社のいわゆる塩漬け土地の現状と解決策についてお伺い致します。塩漬け土地開発公社保有地,簿価で4兆円を超す。これは9月下旬の新聞記事のタイトルでございます。自治体の土地開発公社が保有している土地で事業化されないまま5年以上経過しているいわゆる塩漬け土地が簿価価格で4兆円を超えていることが自治省の調査で明らかになったというものでございます。各府県の最高は大阪府であり,指定都市の最高は横浜市でございます。京都市は指定都市中4番目であります。平成11年度決算で京都市土地開発公社の土地保有状況を調べてみますと全保有面積30ヘクタール,保有額は実に1,030億円でございます。その利息の支払は何と4分の1まで膨れ上がり245億円であります。その中で5年以上経過している道路,公園用地,学校用地,下水道用地,住環境整備用地,その他行政用地の保有地合計は21.3ヘクタール,保有額は750億円でございます。塩漬け割合は何と73.2パーセントという内容でございます。昨年度末の土地保有額のうち最も多い都市計画用地は全体の4分の1を占めており,土地区画整理などの遅れが塩漬けにつながっているのではないかと推察致します。また新十条通建設の関連事業用地の先行取得が膨んでいることも影響していると聞いております。 自治体が公共施設などを建設する際,これらの用地を確保するため自治体に代わって土地を先行取得するのが土地開発公社の役割でございます。公社は通常,銀行などからの借金で土地を買い,事業化する際に,購入金額にその後の金利などを上乗せした簿価いわゆる帳簿価格で自治体に売り渡すことになっております。それでは一体なぜこういった塩漬け土地が生じたのか,国は今から5年前,経済対策で公共用地の積極的な取得を促し,自治体に公社を通じて国鉄清算事業団用地を購入させた経緯もございます。一概に言えませんが,公社に先行買収を依頼する際に明確な利用目的があったのか,また都市計画決定後の事業化が思うようにいかずやむなく塩漬けになっている面もないとは言えませんが,とりあえず買っておけといった無計画な買収があったのではないでしょうか。いずれにしろバブルの崩壊で地価は下落し,このまま塩漬け土地を放置すれば簿価価格と実勢価格とはますます開く一方でございます。 先月末に川崎市に寄せていただきお聞き致しましたところ,2年前に既に公社保有地のうち当初利用目的がなくなった16件10ヘクタールを競争入札などで売却するとの方針を決めており,大阪府も平成9年度から入札による土地開発公社の保有地の売却を始めていることが新聞に載っておりました。自治省もようやく腰を上げ,本年7月土地開発公社の経営健全化を急ぐため自治体向けに公社から土地を買い取る場合に地方債の発行や特別交付金の活用を認めるなどの財政支援に乗り出しております。経営が悪化している第三セクターや自治体の不動産部とも呼ばれている土地開発公社の負債が自治体の命取りになる可能性は強く,膨大な隠れ債務が表面化すれば片方で京都市市政改革行動計画を一生懸命進めていても,すべてその効果が吹っ飛んでしまうことにもなりかねません。塩漬け土地の抜本的解決には用地購入を依頼した京都市側の責任ある取組が必要であります。個々の塩漬け土地の利用計画をもう一度洗い直し,実現の可能性の乏しいものは処分方法を明らかにすべきであります。損失の表面化を恐れ,処分に二の足を踏んでいては大変な事態になりかねません。京都市として勇気を持って英断を下す必要がございます。5年以上750億円に上る塩漬け若しくはそれに近い状況にある土地をどのように措置されようとしておられるのか,その決意も含めお答えいただきたいのでございます。 次に,スポーツ振興とドームの建設についてお伺い致します。先日行われましたシドニーでのオリンピックは,テレビを通じてではありますが私たちに大きな感動を与えてくれました。とりわけ本市出身のシンクロナイズドスイミングや女子ソフトボールなどの選手の活躍は目覚ましいものがありました。このように色々のスポーツ競技は,実際にしている人たちにとっても見ている人たちにも色々な形で様々に大きな感動を与えております。2巡目国体が京都で開催された後,本市においては1989年,平成に年号が変わるや市民スポーツ振興策を示したみんなのスポーツを発表され,以後計画に掲げられた地域体育館構想の具体化などスポーツ施設の推進に取り組んでこられ,今京都のスポーツ界は,私の息子も現役でありますが高校野球,水泳,体操,駅伝,ラグビー,サッカーなどの多くの分野で全国のトップ水準を走りレベルの高さを誇っております。このような中でみんなのスポーツの目標年次でありました2000年を迎えたことから,計画の達成状況を点検するとともに今日の市民ニーズを把握するためアンケート調査も行われ,少子高齢化などの社会情勢を踏まえ,10年後を目標年次とする新しい振興計画を検討し策定されると伺っております。策定される次の新しい計画には,私も体育振興会の会長をさせていただいておりますが全市の体育振興会活動に見られる本市の市民スポーツの先進性に着目した地域におけるスポーツ活動の一層の支援やニュースポーツの振興などを通じ地域と共生したスポーツ文化の構築を目指すものが是非必要と思われます。大型箱物の時代ではないと思いますが,長年の懸案であった西京極プールも桝本市長の英断によって着工されましたので,残っている地域体育館の早期建設やあらゆるスポーツ活動に,またイベントなどにも利用できる天候に左右されない全天候型の施設いわゆるドームの建設は是非必要でございます。既に建設の請願は以前に採択されておりますし,基本計画第2次案にも盛り込まれております。本市の財政状況を考えるとき,そう簡単に建設できるとは思いませんがPFI手法や民間活力の御協力をいただくことができるならば早期に具体化できるのではないかと思います。市長の英断をお伺いしたいと思います。 次に,環境問題とごみ問題についてお伺い致します。大ざっぱで几帳面でない私が環境問題やごみ問題を採り上げることはいささか不似合いかも分りませんが,実は先月,西脇先生を団長とする6人の同僚議員と共にアメリカ,カナダの海外調査に参りまして,各市の真剣な取組と市民の協力によって本当に美しいまちを拝見させていただき,いささか私の人生観も変わりましたので,私のうんちくを申し上げたいと思います。 今世紀を振り返ってみますと,目覚ましい経済成長に伴い私たちの暮らしは非常に便利で豊かなものになっていますが,これは大量生産,大量消費,大量廃棄型の社会システムの中で成り立っています。使い捨て商品のはん濫に見られるようにまちの中にはあらゆるものが湯水のごとくあふれ,お金を出せば何でも手に入るようになり,次々に新しい商品がまちに送り出される状態が正に日常化されております。こうした中で私たちを取り巻く環境は大きな影響を受け,ダイオキシン類などの化学物質による健康面や大量の化石燃料の利用による地球温暖化などの問題として大きく採り上げられてきたものであります。環境問題といえば地球温暖化問題やダイオキシン問題など大きな視点から考えていくべき問題ですが,その原因は,よくよく考えてみますとごみ問題などは身近な所に端を発していると思われます。なぜかと申しますと,私たちが排出したごみは何らかの形で処理しなくてはなりません。焼却,埋立て,再資源化などいずれにしても膨大な費用が掛かっております。リサイクルは有効な方法とは思いますが費用は掛かります。これらの費用を削減する一番良い方法はごみを作らないことだと思います。 家庭から出るごみの質はこの40年間に大きく変化致しております。調査された資料を見ますと,土砂,陶磁器,灰,建設廃材など総ごみ量の約60パーセントを占めていたものが7パーセントに減少し,反面生ごみは20パーセントほどが36パーセントと倍近くなり,紙類は7パーセントが33パーセントと約5倍になり,プラスチック類に至っては150倍にも増加しているのであります。また家庭から排出されているごみのうち重量で約2割,容積で約6割は商品そのものではない容器包装類が占めていることや使い捨ての商品がどんどん増えています。私たちが日常的に排出しているごみが地球環境問題の解決を左右する大きなポイントを占めていると思います。私たち自らが生活様式を見直し何らかの取組を実行していこうということにならなくてはなりません。身近なごみ問題は身近な所に解決の糸口があると思います。例えば増え続けている容器包装類についてはスーパーなどの窓口で配られるレジ袋も含まれます。京都市では,このレジ袋は年間で約6,000トンがごみとして排出されております。もう少し分かりやすく申し上げますと,地下鉄東西線の車両の大きさで約50台分であります。しかしながら,これは買物袋を持参することによって簡単に減らすことができるのではないかと思われます。ごみ問題は,正に私たちの暮らしに直結している問題であり,環境局の啓発活動や情報提供などの取組ももっと強めていただかなくてはなりませんが,一人一人ができるところから実践していくことが何よりも求められているところではないかと思います。 そこでお尋ね致します。一つは,ごみ減量の更なる徹底した分かりやすい有効な施策はないのですか。二つ目は,分別収集の更なる徹底を図るため今後の方策をお聞きしたいのであります。三つ目は,平成13年4月施行の家電リサイクル法への具体的準備はどのようにされているのか。四つ目は,今年4月から供用開始された山科区の東部山間埋立処分地は順調に進捗しているのか,問題点はないのかお聞きしたいと思います。 最後に,時間がほとんどございませんので山科区の問題について簡潔にお伺いしたいと思います。今,山科区の大きな課題は交通混雑の解決でございます。山科から市内に通じる幹線道路は五条通と四ノ宮四ツ塚線しかございません。地下鉄東西線の開通により京阪電車の廃線による拡幅工事の完成は山科区民にとって一日千秋の思いで待っているのでございます。平成14年度に計画どおりに完成できるのか,その見通しを明らかにしていただきたいのでございます。また新十条通につきましては,9月市会で工期の変更と一部土地買収が進まず1年遅れの平成15年度になり残念でなりません。買収は順調に進めることができるのか,また料金が片道450円になるとお聞き致しておりますが,往復900円は余りにも高すぎると思われます。名神高速道路の通行料を参考に致しますと,ほぼ同距離の山科の京都東インターチェンジから大津インターチェンジまでは250円であります。私たちの望んでいるのはあくまでも生活道路であります。開通時期の再延期はまさかないと思いますが,阪神道路公団とも再検討され,通行料金をもっと低くしていただきたいのでございます。京都市の姿勢を最後に明らかにしていただき,私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(今枝徳蔵君) 暫時休憩致します。 〔午前11時54分休憩〕 〔午後1時1分再開〕 ○副議長(今枝徳蔵君) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(今枝徳蔵君) 休憩前の一般質問を継続し,山口幸秀君の質問に対する答弁を求めます。桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼君) 山口幸秀議員の御質問にお答え致します。 まず新たな100年を見据えた市長としての決意についてのお尋ねでございます。京都は1200年の悠久の歴史を経て,今なお146万人の市民が暮らす大都市であり続けるという世界にもまれな都市でございます。これは私たちの先人が幾多の試練を迎える中で,現状を見据え時代を見通す確かな目を持ち,番組小学校の創設や琵琶湖疏水の建設など京都の将来の発展に向けてたゆまぬ努力を続けてこられた結果によるものでございます。時代は今,正に文明史的な転換期を迎え,世界中が先行きの不透明感と不安感に包まれております。私は,こうした時期にこそ1200年の歴史と伝統を有する京都が,日本はもとより世界中の人々に対して新たな時代の都市の在り方を示すことができるものと確信致しております。本市を取り巻く社会経済情勢はなお厳しい状況が続きますが,地方分権の時代,新世紀の幕開けに市政を担う市長として,私は,必要な改革は断行し必要な政策は完遂するという姿勢で市民の皆様と一緒になって京都の持てる力を総動員し,100年後,22世紀初頭の京都市民から評価されるような光り輝く都市,世界の京都を作り上げ将来の世代への責任をしっかりと果たして参る所存でございます。 次に,京都市基本計画についてでございます。基本計画は,現在京都市基本構想等審議会におきまして御議論いただいているところであり,12月には答申をいただく予定になっております。私は,本格化する地方分権の下で京都が21世紀において継続して発展していくためには,基本構想に描かれた安らぎのある暮らしと華やぎのあるまちを京都ならではの知恵と方策で実現していくことが必要だと考えております。都市は理想を必要とします。また特色がなければなりません。東京を中心とする関東圏に比べ,その絶対的地位が低下している京阪神3都市でありますが,関西国際空港を中心とする商いのまちである大阪,また神戸港を中心とする国際港湾都市,ファッション都市としての神戸とは異なり,京都は1200年を超える悠久の歴史を持つ都市として,我が京都はその長い歴史の積み重ねの中で培われた文化,学術などを発信し,京都の深い蓄積を力として世界中の人々が訪れたくなるような美しいまち,国際的な文化観光都市を実現していくことがまちづくりの方向であると考えておる次第でございます。 次に,市長選挙の際,私が市民の皆様にお約束致しました公約と基本計画との関係につきましては,私の公約は基本構想の理念を実現するため市民の皆様の声や要望を十分に採り入れてまとめたものであり,これは審議会から12月にいただく予定の基本計画の答申と整合のとれたものとなると考えております。この基本計画は,まだ審議会における審議の途中でありますが,その中でも私が力を入れていきたい政策として考えております一例を申し上げます。国内外から5,000万人の方をお迎えしてもてなす観光政策,COP3開催都市として世界に先駆けた環境政策,景観に配慮したまちづくり,LRTいわゆる新型路面電車の研究など公共交通優先の総合交通政策,そして重要なのは21世紀の京都を担う教育,人づくり,福祉であります。更にはこのような政策に加えて京都独自の行政評価や市民参加のシステムなど分権時代に対応した市政運営の新たな仕組みづくりでございます。こうした政策に力を注ぎ,基本構想の実現に向け全力を挙げて取り組んで参る所存でございます。 次に,平成13年度予算編成の見通しと国への要望の状況についてでございます。平成13年度につきましては市税収入が2年続いた大幅減の傾向に歯止めが掛かることが期待されるとはいえ,依然として厳しい状況が続くものと見込んでおります。歳出面では山口議員御指摘のとおり公債費をはじめとした義務的経費や少子長寿社会への対応,環境対策など財政需要が増大している状況にあり,収支の見通しでは430億円にも及ぶ財源不足が実質的に見込まれるなどかつてない厳しい局面での予算編成でございます。したがいまして財源不足対策として取崩し可能な基金がない状況下で大幅な財源不足を解消し必要な財源を捻出していくためには,何よりもまず経常的経費の削減などの内部努力をこれまで以上に重ねて参ります。更には先にお示し致しました新しい市政改革の基本的な考え方の下,市民と行政との役割分担の見直しを行い,既存事業の思い切った休廃止にまで踏み込んだ大胆かつ徹底した事務事業の見直しや経費負担の公平化,適正化を進めることを視野に入れまして取り組んで参ることが不可欠と考えておる次第でございます。このため,これまで以上に施策,事業の取捨選択,重点化,優先順位の明確化を徹底することにより市役所の総力を挙げて21世紀の京都の礎を築く新しい基本計画を具体化させるための確かな第1歩となる予算を編成する決意でございます。また中長期的な観点からは,国に対し地方分権の推進に合わせた地方の自主財源の拡充強化を市会の先生方の御協力を賜り,また他の指定都市とも連携して,従来にも増して強く要望して参りたいと考えております。今後基本計画に盛り込まれた施策の着実な推進により,都市活動全体を活性化させ市税の増収を図るなど財政基盤の強化に不断に努めて参る所存でございます。 全天候型運動施設につきましては,今日まで他都市調査などを行って参りましたが,整備に当たっては,市民がスポーツやレクリエーションなど多目的に利用できる施設が望ましいと考えており,新しく策定する京都市基本計画の第2次案に全天候型運動施設の整備を盛り込んでおります。整備に当たりましては,本市の厳しい財政状況を踏まえPFIを含む民間の御協力を得て是非とも検討して参りたいと考えております。また現在新しい市民スポーツ振興計画の策定に向け計画策定委員会において御議論いただいておりますが,私は,体育振興会に代表される全国にも誇れるまれな京都の市民スポーツの風土を発展させ,地域と共生したスポーツ文化を構築していくことが重要であると考えております。 以下,副市長及び局長が御答弁申し上げます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 中谷副市長。 〔中谷副市長登壇〕 ◎副市長(中谷佑一君) 御池地下街をはじめとする第三セクターへの対応についてお答え致します。まず赤字経営となっている要因は,本来これらの団体は公共的,公益的なサービスの提供を目的とする第三セクターであることから,相当額の設備投資や初期の赤字などを想定しなくては事業化ができないものであり,またバブル崩壊後の経済環境の変化などにより大変厳しい経営状況に至っております。そのため京都市と致しましては,本年3月に策定した京都市外郭団体再整備計画に基づき経営状況の点検,評価を踏まえた経営改善計画の策定を求めるなど一層の経営健全化に向けた指導を始めたところであります。今後こうした取組を通じまして将来経営改善の可能性がないと判断される場合においては問題点を先送りすることなく直ちに対応策を講じる所存でございます。以上でございます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 増田副市長。 〔増田副市長登壇〕 ◎副市長(増田優一君) ごみ減量に向けた施策についてでございますが,本市では昨年6月,平成22年度に本市が処理するごみの量を平成9年度レベルから15パーセント削減するという積極的な数値目標を掲げました新京都市一般廃棄物ごみ処理基本計画京・めぐるプランを策定し取組を進めているところでございます。この目標の達成には市民,事業者の自主的な取組が重要であり,また御指摘のとおり一人一人のライフスタイルを変革し,身近な所から取組が始められるよう情報提供や啓発活動に努めることが大変重要でございます。このため本市では,これまでから買物袋持参キャンペーンなどを行って参りましたが,今後ともごみの減量化に向けた啓発活動を強化して参りたいと考えております。また情報提供の拠点として本年10月には環境学習・エコロジーセンターの建設に着手したところでございます。 次に,分別収集についてでありますが,本市では,これまでから実施している缶,瓶,ペットボトルの分別収集の取組を強化するとともに,現在モデル収集を行っておりますプラスチック製容器包装の分別収集を拡大することと致しております。更に本年6月に公布されました循環型社会形成推進基本法や建設リサイクル法,食品リサイクル法などを踏まえ分別収集の更なる徹底と,ごみの減量化とリサイクルの促進に向け積極的な取組を進めて参りたいと考えております。 次に,京都高速道路新十条通についてお答え致します。御指摘のありましたように用地買収の遅れによりまして完成が1年遅れることにつきましては,本市と致しましても大変厳しく受け止めております。予定されております平成15年度末の完成に向けまして用地買収の確実な実施など9月市会での付帯決議の重みを十分踏まえ,阪神高速道路公団に一層の事業促進を求めているところであり,本市も連携を図り取り組んで参りたいと考えております。また通行料金につきましても市民の皆様が利用しやすい料金となるよう公団へ強く申入れをしているところであり,今後とも協議を進めて参りたいと考えております。以上でございます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 高木副市長。 〔高木副市長登壇〕 ◎副市長(高木壽一君) まず市税の滞納整理についてでございますが,私が本部長を務めております滞納市税特別対策本部の下に早期着手,早期差押えを基本方針と致しまして理財局と区役所,支所が一丸となって取組を進めております。特に高額滞納案件につきましては,理財局にプロジェクトチームを,また区役所に高額滞納案件を担当する係長を配置し重点的に取り組んでおりまして,その結果,滞納繰越額が減少し徴収率の向上に寄与しているところでございます。更なる市税徴収率の向上のためには高額滞納案件に対する取組が特に重要でございますので,今後とも徴収体制の充実を図り,厳しい姿勢で市税収入の確保に努めて参ります。 次に,土地開発公社の長期保有地についてのお尋ねでございます。長期保有地の解消が全国的にもここ数年来大きな問題になっておりますが,京都市の土地開発公社の場合,総保有面積は他都市と比べて極めて小さいうえに長期保有地のほとんどは事業進捗の遅れから生じたものでございます。それぞれの取得目的や用途につきましては確定しておりまして,他の自治体で問題になっておりますような開発分譲型のものはございません。しかしながら,御指摘のとおり金利負担の問題もございますので保有期間が長期にわたるような事態は極力避けるべきでございます。何よりも事業の進捗に一層努めますとともに事業の再点検を行って参ります。なお事業見通しの付かないものにつきましては事業計画の変更や売却処分を検討して参りたいと考えております。以上でございます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 河内理財局長。 〔河内理財局長登壇〕 ◎理財局長(河内隆君) 京都市独自の新税に関しますお尋ねにお答え致します。本年4月の地方分権推進一括法の施行によりまして課税自主権の拡充が図られ,他の自治体におきましても様々な動きがあることは議員御指摘のとおりでございます。もとより市税収入の充実確保のためには国から地方への税源移譲が必要と考えておりますが,併せまして独自に税源拡充の方策を検討することも重要であると認識しております。したがいまして本市におきましても本年8月に理財局内に研究会を設置致しまして自主税源拡充の可能性につきまして検討を開始したところでございます。しかしながら,新税は市民の方々に新たな御負担をお願いすることを伴うものだけに今後様々な声に耳を傾けながら慎重に検討を進めて参りたいと考えております。以上でございます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 小森環境局長。 〔小森環境局長登壇〕 ◎環境局長(小森浩君) いわゆる家電リサイクル法の実施についてでありますが,この法律は,廃家電製品のうちテレビ,冷蔵庫,洗濯機,エアコンの4品目につきまして,生産者及び排出者の責任に基づきリサイクルを促進しようとするものでございます。13年4月の法施行後はこの4品目については小売業者を通じての回収リサイクルが基本となります。既にリサイクル料金や指定引取場所が明らかとなっておりますが,小売業者の収集運搬料金等は未定であります。現在小売業者の引取りによるリサイクルシステムの構築に向けまして関係者との協議を行っているところでございます。今後早急に具体的な仕組みについて周知して参りたいと考えております。 次に,東部山間埋立処分地の運営状況についてでございますが,地元住民の皆様の御理解と御協力をもちまして本年4月から市民持込みごみの搬入を開始し,更に7月からは各クリーンセンターから排出される焼却残灰を搬入しております。搬入台数につきましては10月末現在で1日平均106台,埋立量は約580トンで順調に推移しております。今後とも環境保全に万全を期すとともに地元住民の皆様に安心していただけるよう連絡を密にして参りたいと思います。以上でございます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 野嶋建設局長。 〔野嶋建設局長登壇〕 ◎建設局長(野嶋久暉君) 四ノ宮四ツ塚線いわゆる三条通の拡幅工事についてお答え致します。本工事は,交通渋滞の解消と安全で潤いのある道路とするために蹴上から日ノ岡間におきまして京阪電鉄の軌道敷跡地を利用致しまして道路の拡幅並びに道路の線形を改良しようとするものでございます。先生御指摘のとおり一日も早い完成を目指しまして,現在京阪用地等の買収及び地下埋設物の敷設工事を進めているところでございます。今後も引き続き残る用地の買収に努めまして改良工事を実施しまして平成14年度末には完成させて参りたいと考えております。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(今枝徳蔵君) 次に,市政一般について,砂川祐司君に発言を許します。砂川君。 〔砂川祐司議員登壇(拍手)〕 ◆(砂川祐司君) 私は,伏見区選出,民主・都みらいの砂川祐司でございます。民主・都みらい議員団を代表して,先の山口幸秀議員に続きまして市長並びに市当局に対しまして市政全般にわたり質問させていただきます。また輝かしい21世紀の幕開けを控えた代表質問でございます。喜びと緊張と,そして責任の重大さをひしひしと感じております。 まず初めに,災害は忘れたころにやってくるとのことわざがございますが,災害対策について質問させていただきます。昨年トルコ共和国では大きな地震,烈震を2度にわたって体験されました。8月の17日と11月12日でございました。トルコ北西部大地震でございます。私は,12月議会が終わった後すぐ,暮れの19日より31日の大晦日まで最も被害の大きかったイスタンブールから約100キロ東の人口9万人,海抜800メートルの寒い山岳のまちデリンジェ市へ救援ボランティアに行かせていただきました。災害テント村にある給食センターより毎日800張のテントへ食事を配達する役目でございました。この間デリンジェ市役所の方と十分話し合う機会をいただきまして,なぜ9万の住民のうち3,000人もの多くの死傷者が出たかということについて篤と聴き入れを致しました。それによりますと,トルコには地震に対する有効な建築基準法がまだまだ不備で,そのうえすべてではございませんが,そもそもトルコ国民が建築基準法等を守ろうとする遵法精神が乏しく,常々不法建築,言葉を換えますと闇建築がはびこっていたとのことでございます。そのような建物が多いので地震に弱く石の建物にて被害も増大するのは当然でございます。 トルコはトルコとしておきまして,本市におきましては建築確認を受けない俗に言う闇建築についてどのような監視体制をとっておられるのでしょうか。もし違法建築が発見された場合はどのような対応,指導をなされるつもりでしょうか。正直者がばかを見るようではいけません。お答えください。 さて京都市域には花折断層,西山断層,そして黄檗断層がございまして,また最近宇治川の観月橋付近に新たな今まで知られていなかった地下の断層が調査の結果発見されたそうでございます。あたかも地震の巣の上に我が京都が乗っている感じでございます。先月の鳥取県西部地震の際,大阪市消防局の震災対策計画で招集対象だった非番職員がたった20パーセントしか集まらなかったとの報道もあり,震災対策は計画倒れになったと大きく新聞報道がされておりました。本市においても京都市地域防災計画は策定されておりますが,計画どおりに実行されなければ市民は安心して生活していられないということになります。9月1日の防災の日には各行政区持ち回りの京都市総合防災訓練や,阪神・淡路大震災以後は1月17日前後にも災害対策本部の運用訓練を実施されており,これまでにない現地発災対応型の訓練が行われるなど毎年訓練の充実に取り組まれていると聞いております。しかしながら,大地震が起こった場合の状況を思いますと,更に充実を図っていかなければならないと感じるところでございます。 鳥取県西部地震のテレビニュースを見ておりましたら,境港市の市民は,あのときのテレビインタビューで,市役所職員の調査活動は迅速で親切で完璧でありましたと答えていらっしゃいました。境港市では市の地域を3区分して各部局職員を割り当て,災害時には直ちに全庁挙げて活動していくことを常に訓練されているそうでございます。今回非常にそれが役立ったとのことであります。ドイツのことわざにユーブング・マハト・デン・マイスターというのがございます。これは訓練,練習,トレーニングは名人,達人を作るという意味でございます。訓練,練習は極めて重大,達人になるまで根気よく続ける必要があると私は感じました。本市における9月1日あるいは1月17日の訓練は,そうした意味で本番に役立つかどうか心配でございます。更にもう一歩,一工夫も二工夫もして真に本番で役立つ訓練へと充実を図っていただきたいものでございます。今後の訓練をどのようにしていかれるのか具体的にお答えくださいますように。 次に,伏見区誕生70周年と都市基盤整備事業,特に深草地域を中心とした整備推進でございます。29万人近くの人口を数え,全国的にも有名な数少ないマンモス区で京都市民の5分の1が居住しております伏見区,この伏見区における課題につきましては,京都市新基本計画の区別計画の中で多くの都市基盤事業の後れが市内中央部の行政区と比べて非常に目立っております。昭和6年,伏見市と京都市が合併した際,伏見は京都と違った名誉ある独自の文化のある伏見市の市を捨てて京都市の中の区に入りました。これは当時の伏見区民が未来に夢と希望を抱いたはずだったのでございます。来年は京都市と伏見市が対等合併して丁度70周年という節目でございます。伏見区が生まれて70年でございます。ここでもう一度,この合併が両市,また両市民にとって誠正解だったのか,静かに検証する必要があると私は思います。何とならば,時々伏見の住民から,もしも今日伏見が30万人の独立した中堅都市のままであれば,実に細やかな市政が隅々まで行き渡り安心して快適なサービスが享受できたのではと耳にするからでございます。太閤殿下が精魂込めて造られた伏見城,その盛時なるときの文化を歴史家は,安土伏見文化と評しております。このような伏見区民の心中は悶々とし,表に出せない,されどこの気持ちを聞いていただきたいというその辺の複雑な気持ちを市長はいかに受け止め,合併70年の総括をどのように表現されるでしょうか,伏見区民はこのときを期待しております。聞きたがっております。 さて私が住まいしております所は北伏見の深草地域でございます。人口7万人近くを数え,東山区をしのぎ下京区に迫る多くの市民が生活なされておりますが,地域的には東山区,南区の旧市街地と旧伏見市の本所管内との中間に位置しており,公共施設の整備や都市基盤整備が忘れられがちないわゆるエアポケットのような存在になっているのではないかと感じております。この地域は,立体交差が非常に困難と思われる京阪電車と並行して流れる琵琶湖疏水によって地域の東西の交通が寸断されており,地域住民は日常生活が甚だ不便と感じているだけではなく,地域の活性化と発展の阻害要因となっております。特に京都市の水道局が管理している琵琶湖疏水をまたぐ橋のうち車の通行が可能な橋はたった三つしかなく,そのほかの生活道路に架かっている橋は障害者,高齢者,妊産婦,幼児にとって不便極まりない,いわゆる太鼓橋になっているわけでございます。このような日常の生活用の橋が太鼓橋になっている例は市内を探してもほとんど見当たりません。あるでしょうか,なし。私は,一つの太鼓橋につきまして,今日は写真を大きく引き伸ばして参りました。これでございます。丁度私が写真を撮るとき,障害を持つ御老人が電動車いすで橋から降りてこられたところでした。一人でなかなか上がれません。また下るのも大変でございまして非常に困っていらっしゃいました。誠にその風景は悲しい光景ではないでしょうか。高齢社会というのは,長寿社会であると同時に障害を持つことを常とすると心得るべき時代で,このような方が多くなるということでございます。このような向こう岸に弱者が渡るのに気を使うということは,この11月15日に施行された交通バリアフリー法の趣旨に反し,地元住民のことを思い巡らすとき誠に悲しい現状であります。大正時代の疏水に架かる数多くの太鼓橋は,運河法なる法律に基づいて疏水を運航する船の航路を確保する必要性からと言われておりますが,それでは京阪電車地下化に伴う塩小路以北の例がありましょうや。今すぐとは言いませんが,英断をもって運河法の適用除外とされてはいかがでしょうか。地元は切望しております。市当局の御見解をお伺い致します。 更に京阪沿線各駅の自転車駐輪場確保の問題でございます。道路上への不法駐輪が絶えず,駅付近は大変混乱しております。不法駐輪が多いことの原因は,基本的には駐輪場が確保されていない,狭隘なためであります。そこでこれらの駐輪用地確保の方策として,駅近くの疏水面にフラットな橋を架けることが可能であれば,京阪電車の駅前は自転車駐輪場用地確保問題とバリアフリーに向けての取組が同時に解決できます。この案は地元住民も強く要望している案でございます。21世紀の疏水が今までにない一味違った生まれ変わった役に立つ面を引き立たせるようにお願い申し上げるところでございます。御見解をお願い致します。 次に,食糧,農林業問題と市民生活に関してでございます。日本は2,400万トンの食糧を海外に頼る超輸入国であります。にもかかわらず,食べ残し,捨てている食品のその量は世界2番でございます。今日見過ごすことのできない,看過できない大きな問題となっております。学校給食における残飯,残菜の量は年間12万トンに上ります。国として食糧自給率を高めることは最も重要な大切なことであります。農産物の輸出国がいつまでも日本に友好的に協力してくれると思ったら駄目でございます。 ここで市民生活に大きな恩恵をもたらし,その恩恵すら感じることの少ない農林業の重要性を日ごろ痛切に思う立場から市長にお伺い致します。私は,21世紀の社会の在り方は,環境と国際化と情報化と,そして少子高齢化の四つのキーワードが複雑に絡み合い,人々は調和と共存,健康と心豊かな生活へと充実すべく日々知恵を出し合い,努力しつつ本物を求めていく社会だと思っております。その中で,やはり人々が太古の昔から喜びに付け悲しみに付け,そして神に感謝するときに常に農業の農を座標軸として,かつ農を大切にしてきました。これはどの民族も一緒でございます。さて京都市内及び郊外に広がる農地や林野が果たしている多面的な役割に多くの市民が恩恵を受けているにもかかわらず,まだまだ京都市民いわゆる都市住民にこの意識が浸透していかないのはなぜかと考えますとき,やはり損か得か,好きか嫌いか,有利か不利か,もうかるかもうからないかといった経済優先,物優先の考え方がゆがみをもたらしているからだと考えるところでございます。そのゆがみを是正することなしに21世紀の展望は開けないと思うところでございます。すなわち市民がもう一度土に戻る,自然に戻る,土に関心を持つことの大切さでございます。京都市におかれましては,農業,林業の有する多面的な機能を適切に市政の中に生かし,市民一人一人が真の意味で生きる力を回復できる農林業のある豊かなまちづくりを是非進めていただきたいと考えております。具体的には,例えば欧州では市営の貸農園が至る所にございます。その面積は決して猫の額ではなく,利用料も廉価でございます。市民は休日になると家族そろって土と戯れ自然の営みを肌で感じ,それが健康で安らかな幸せな生活につながるとか,あるいは市が山を持ち,山林指導員,英語でレインジャーと言いますが,レインジャーの下に山林主のような心境で樹を育てたり楽しんだりして自然を味わう機会を与えているというような例があります。むしろそのように行政がイニシアチブをとってやっていくものとヨーロッパでは聞かされております。農業,林業の市民生活に果たす意味と役割,そして市民が土に戻り,自然に親しむ中で人間らしい心豊かな生活をしていくためにどのような方策をお考えか市長の御所見をお伺い致します。 最後に精神障害者福祉の問題について質問致します。私は,昨年の9月10日民主・都みらいを代表してこの場で質問致しました。その際,ある新聞の夕刊を読ませていただきました。御記憶と思いますが,大阪市内にある精神障害者福祉施設が建設され,いざ運営する段になると地域住民より猛烈なる反対に遭い,施設の運営を開始できないでいるという内容でございました。もしも本市においてそのような理不尽なる事態が起こったならば桝本市長,いかがなさいますかと。そのときのお答えは以下のようなものでした。精神に障害のある市民の皆様の社会復帰を進めるに当たりましては,精神障害に関する理解を深める市民参加型の啓発を積極的に展開するとともに施設を設置していくことが不可欠であると力強いお答えをいただきました。ところが,私が案じていたことが現実に起こって参りました。すなわち市内で精神障害者の福祉施設の建設を進めようとしたところ,地元近隣の住民に大反対を受け,その計画はいまだ立ち往生していると聞いております。もちろん設置者や行政は説明会をはじめあらゆる努力をもって住民の理解を求めているのですが,なかなからちが明きません。実は住民すべてが反対しているわけではございません。反対者の反対理由の本音の一つは,精神に障害を持つ方や心に病や傷を持たれた方は何をしでかすか分からない。精神障害者は非常に犯罪率が高いので心配だ,テレビや新聞などのマスメディアは常に精神障害者がまたも事故を起こした,事件を起こしたと報道しているがゆえに静かなまちの住民にとっては甚だ心配でこのうえない迷惑だと聞かされております。 それでは誠精神障害者が事件を起こし静かなまちに混乱を生じさせるものでしようか。ここに1999年度の犯罪白書の資料がございます。これによりますと,交通事故を除いた刑法犯の検挙数は全国では32万4,263人,これは国民1,000人当たり3.2人の割合でございます。これに対して精神障害者の犯罪は1,000人に1人でございます。極めて低いのでございます。もう一度申し上げます。精神障害者が犯罪を犯すと思うのは明らかに大きな誤解であります。それは先入観,固定観念,偏見,思い込み,誤解,錯誤にすぎないのでございます。そもそも人間の心は,時に風邪を引きます。私も心の風邪をしょっちゅう引いております。心の風邪を引かれる方は心穏やかで優しい人が多うございます。 平成7年に施行されました精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の第3条には国民の義務が定められております。読ませていただきます。この法律を十分理解されている市長に向かって第3条を読ませていただくのは失礼と思いましたが,あえて墨にしたためて書いて参りました。第3条,国民は,精神的健康の保持及び増進に努めるとともに,精神障害者に対する理解を深め,及び精神障害者がその障害を克服して社会復帰をし,自立と社会経済活動への参加をしようとする努力に対し協力しなければならないと。先ほどトルコの不法建築が余りにも多く,それが大惨事の原因になったと申し上げましたが,私たちの日本においてもこのような立派な法律の下,第3条に国民の義務としてうたわれているわけでございます。障害を克服して社会復帰し,自立と経済活動に参加しようとする努力に対してどうして足を引っ張るのでしょうか。このような弱い立場の人や障害を持つ人々は,少しでも幸せになりたい,そして自立したいというときに,五体満足なる精神的支障のない健常者である私たちが応援するのは自然の誠の人の道だと私は思いますがいかがでしょうか,市長。このような陰険なる差別は世界広しといえども珍しいことでございます。後世の福祉の歴史の本にはこの事実をどのように書き表されるでしょうか。私は心配でございます。私は,地域医療課の職員の皆様の御労苦をよく存じ上げております。落ち込まないでください。ますますお骨折りくださいますよう切にお願い申し上げます。このことにつきましては市長の市民に対する強いお訴えをお願いし,御所見をお聞かせくださいますように。市長,21世紀は心の時代でございます。私の代表質問を終わらせていただきます。御清聴どうもありがとうございました。(拍手) ○副議長(今枝徳蔵君) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼君) 砂川祐司議員の御質問にお答え致します。 伏見区は,市内最大の人口を有する悠久の歴史と文化を持つ行政区でございます。本市との合併は,将来の都市建設を京都市と共に実現していこうという先人の方々の洞察力のある英断により行われたものであり,その思いに対し深く敬意を表すものでございます。以来今日まで区民の皆様のたゆまぬ御努力によって多種多様な産業が展開し,京都市の活力を創造する一大行政区として着実な歩みを進めており,合併によって大きな成果が得られていると考えております。これまでの間,京阪国道や観月橋の竣工,向島ニュータウンの建設,地下鉄の開業など様々な都市基盤整備を進め,今般中心市街地活性化法に基づき地域経済の発展や豊かな市民生活実現に向けた取組に着手するなど区民の皆様の自らのまちづくりへの熱き思いと御支援をいただきながら事業を推進しているところでございます。現在21世紀のまちづくりに向けて水と緑と温もりで開くまち伏見を目指した伏見区基本計画を区民の皆様と共に策定しているところであり,今後におきましても,厳しい財政状況ではありますが21世紀の本市の新たな活力を担う地域として個性を生かした魅力あるまちづくりを区民の皆様とのパートナーシップにより着実に推進して参りたいと考えております。 次に,農林業の役割についてでこざいますが,我が国は急速な経済成長と共に飽食の時代を迎え国民が食を大切に思う意識が希薄となって農業の重要性が忘れ去られつつあることは,砂川先生と同じく私と致しましても誠に憂慮しているところでございます。このような状況を背景に,昨年,食料・農業・農村基本法が制定され,農業に対する国や地方公共団体の責務が明確にされるとともに,環境保全や子供たちの教育等に関する農業の持つ多様な機能も再認識され,農業が国民の命と暮らしを守る礎と位置付けられました。京都市と致しましても,都市にこそ自然と直接かかわる農林業が必要であるとの認識の下,これまで京の旬野菜推奨事業の実施や体験農園,山村都市交流の森の整備等を行い都市農林業の振興を進めるとともに,農林業の多様な機能を活用した豊かな市民生活の実現に努めて参りました。私は,心の時代と言われる21世紀におきまして,ますます都市農林業の果たすべき役割は重要になると考えており,現在策定中の京都市基本計画を具体化するため今年度中に新たな京都市農林行政基本方針を定め,将来にわたって京都の農林業が活力を持って発展し続けるよう必要な施策を積極的に実施して参りたいと考えております。 次に,精神保健福祉についてのお尋ねでございます。私は,人権文化の息づくまちづくりに向け,完全参加と平等を目指したノーマライゼーションの理念を実現するため,すべての市民の皆様が認め合い支え合いながら暮らせる京都のまちづくりに全力を挙げて取り組んでいるところでございます。とりわけ精神保健福祉施策の推進につきましては,広く市民の皆様方の御理解を得るため市民参加型の啓発を積極的に展開するなど心のふれあいプランを着実に推進しているところでございます。このような中で精神障害者福祉施設の建設に当たり,地域住民の一部の方々の御理解が得られず計画が停滞するなどの事態が生じておりますことは精神に障害のある市民の人権にかかわる重大な問題であり,人権文化の息づくまちづくりを進めるうえで極めて残念,遺憾なことであると認識致しております。このため市民の皆様に精神障害に関する理解をより一層深めていただく取組を強力に進め,今後とも誤解や偏見のない心のバリアフリーを目指し精神保健福祉施策の推進に取り組んで参ります。 以下,中谷副市長及び局長が御答弁申し上げます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 中谷副市長。 〔中谷副市長登壇〕 ◎副市長(中谷佑一君) 疏水に架かる太鼓橋の整備及び放置自転車対策についてお答え致します。御指摘のとおり,琵琶湖疏水に架かる橋につきましては疏水を維持管理するうえで,船の上で人が立てる状態で通す必要があるため太鼓橋の形状で造られたものでございますが,将来橋の架け替えを行う場合には隣接する土地の高さや橋の利用状況,疏水の維持管理の問題も考慮しながら少しでも利用しやすい橋に改善できないか検討して参ります。 次に,運河法との関係ですが,現在京都市は毎秒23.65立方メートルの水利権量を確保して,水道用,工業用,かんがい用,防火用水等に利用しております。この運河法の適用が除外されますと,運河用水として該当する水利権量が減量されることになり,京都市民の生活に欠かすことのできない貴重な財産を失うことになります。 次に,疏水の暗渠化につきましては,伏見深草地区の疏水は,三条から塩小路間とは異なり都市排水,下水雨水排水を流入させているため雨天時に大量の雨水及び土砂等が流入し,土砂のしゅんせつや施設の安全点検が常時必要でございます。したがって暗渠化による上部利用は維持管理上支障となるとともに,市民に親しまれてきた歴史的な親水景観を損なうことにもなり,暗渠化して自転車駐車場用地を確保することは大変困難なことでございます。しかし,先生御指摘のとおり鉄道駅周辺における放置自転車対策は緊急の課題でございます。そのため鉄道事業者に対して駐車場用地の確保についての協力を強く要望しているところであり,更にボランティア活動などに取り組まれている地元の皆様の御意向も踏まえ,地元住民,行政,鉄道事業者等のパートナーシップの下,地域の協議会の設置などを通じて適切な放置自転車対策を進めて参りたいと考えております。以上でございます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 西都市計画局長。 〔西都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(西晴行君) 御指摘のとおり法を無視した違反建築は人命はもとより都市の安全性を脅かすものであり,安心で安らぎのあるまちづくりを実現していくためには,建築にかかわるすべての人の遵法精神の下に安全で良好な建築物が供給されることが重要となって参ります。本市におきましては,建築確認を取得せずに建築される例はほとんどありませんが,工事に際して違反となるものがあることから,昨年の中間検査制度の導入を契機に工事中の建築物に対するパトロールを強化し,違反行為の早期発見,早期是正に努めているところであります。また違反建築を確知した場合には,命令等の処分や告発も念頭に置いた毅然とした指導を行っております。我が国においては,先の阪神・淡路大震災を教訓に,改正された建築基準法が昨年から随時施行されているところであり,本市におきましても,今後の安全な都市づくりを目指し違反建築の防止に向け啓発を含む種々の取組を強化していく所存でございます。以上でございます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 原田消防局長。 〔原田消防局長登壇〕 ◎消防局長(原田一郎君) 防災訓練についてのお尋ねでございますけれども,阪神・淡路大震災以後,本市では自助,共助,公助の役割分担と連携,協働という地域防災計画の基本理念に基づき,市民,事業所,地域が参加する初動対応,自衛隊,警察,消防等の連携活動,災害対策本部の運用などの訓練について年々充実を図って参りました。本年の総合防災訓練では,上京区内の83箇所で今までにない訓練を実施し,住民を主体に防災機関が連携する今後の方向性を確認したところです。今後とも全市や区の総合防災訓練では市民と防災機関を両輪に,より実践的な訓練を目指して参ります。また地域の自主性を育てるという視点を持って各自主防災会での訓練の一層の充実に取り組み,地域の防災力の充実に努めて参ります。更に災害対策本部運用訓練につきましては,当初の参集訓練から次の段階として勤務時間内での地震発災に対応する図上訓練に取り組んで参っております。今後も目標を持って着実に内容の充実を図り,災害に迅速,的確に対応できる体制づくりを進めて参ります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(今枝徳蔵君) 次に,市政一般について,井上教子さんに発言を許します。井上さん。 〔井上教子議員登壇(拍手)〕 ◆(井上教子さん) 下京区選出の井上教子でございます。私は,公明党京都市会議員団を代表して21世紀を担う青少年の問題を中心として市長並びに関係理事者に対し質問致します。 シドニーで開催されたミレニアム五輪。世界平和を願う聖火の下,大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国の各90人の選手らが1本の統一旗を高々と掲げ合同行進する姿は世界の人々に大きな感動を呼び起こしました。戦争と暴力の20世紀。その中でいつも犠牲になってきたのが弱い立場の女性,老人や子供たちでした。第2次世界大戦中,ナチスドイツの強制収容所の一つチェコスロバキアのテレンジ収容所には1万5,000人のユダヤ人の子供たちが収容されていました。生きて解放された子供はわずか100人。エッセイストの野村路子さんは,1万5,000人のアンネ・フランク,テレンジの幼い画家たち展と題して,茶色いしみの付いた紙や書類の裏を使って遊園地やサーカスの思い出,花や蝶などを描いたこの子供たちの絵を日本全国で紹介しておられます。学校へ行く,遊園地で遊ぶ,おなか一杯食べる,子供たちの願いはどれも当り前のことばかりでした。今の日本でなら誰にとっても簡単なことです。でもテレンジの子供たちには,その中の一つさえも許されていなかった。そう考えたとき私は,どうにかしてこの子供たちの絵を日本の子供たちに見てもらいたいと思いました。野村さんは著書の後書きの中でそう述べておられます。 今,世界中で1億3,000万人もの子供たちが小学校に行けないでいます。家が貧しかったり,親に育ててもらえなくなったためにまちの路上で働き生活しているストリートチルドレンと言われる子供たちの数は1億人から2億人とさえ言われております。戦争で肉親を目の前で殺されたり,地雷で体を傷付けられたりした恐ろしい体験をしたために心を閉ざしてしまった子供たちもたくさんいます。また近年は,子供たちが武器を持たされて戦争の前線に駆り出されることも多く,18歳未満の子供兵士は世界中で30万人とも言われております。更に子供買春,子供ポルノ,性的目的の子供の人身取引など毎年少なくとも100万人の子供たちが性産業に送り込まれております。 〔今枝副議長退席,二之湯議長着席〕 ◆(井上教子さん) (続)世界中の子供たちを取り巻くこのような状況の中で,国連総会は1989年11月20日,子どもの権利条約を採択するとともに,1998年11月10日には,2001年から2010年までを平和と文化と世界の子供たちのための非暴力のための国際の10年と宣言し,NGO,宗教機関,団体,教育機関,芸術家,そしてメディアに対し,世界のあらゆる子供たちの利益となるよう国際の10年への支援を呼び掛けました。来年からユニセフを中心として具体的なキャンペーンが行われると伺っておりますが,私は,子供の人権を守るためには,親や教師をはじめ子供にかかわるすべての大人たちが人権について学び,人権を尊重する態度を身に付け,そして現実生活の中で具体的に示していくことが大切であると考えております。 我が国においては,戦争もなく物質的にも恵まれているにもかかわらず,年々凶悪化する少年犯罪をはじめ,いじめ,不登校,校内暴力,児童虐待など心の荒廃現象がどんどん進んできております。このような現象は,価値観を見失った大人社会の反映であり,問題は現代社会の本質に深く根差しているものと言わざるを得ません。平成10年に発行された文部省の中央教育審議会答申によりますと,世論調査の結果として,少年非行の原因は家庭46.7パーセント,学校25.4パーセント,社会環境,社会風潮18.6パーセントと家庭がその原因のトップに挙げられており,学校や地域が連携を深め社会全体で家庭をサポートしていく必要性も浮き彫りにされております。私は,こうした心の荒廃が生み出す様々な社会現象,とりわけ子供たちに対する暴力,あるいは子供たち自身による暴力の問題については,学校だけの問題ではなく家庭や地域も含めた社会全体の問題としてとらえ直さなければならないと考えます。そのため本市においてもユニセフとの連携も図りながら,非暴力の市民意識を高めるためのイベントやキャンペーンを展開し,子供たち自身による自発的な意思表示として,子供たちが大人になっても暴力を振るわない,暴力をきっぱり否定するという子供たち自身による非暴力宣言という一つの大きな成果に結実させ京都から世界へと発信できるよう,是非桝本市長に先頭に立っていただき広く子供たちにアクションを呼び掛けていただきたいと心から念願するものです。また子供たちだけではなく家庭や地域も含めた社会全体がしっかりと非暴力の立場に立ち,21世紀の社会を担う子供たちの健全な育成を後押ししていけるよう働き掛けていくべきであると考えますがいかがですか,市長の見解と決意を具体的にお示しいただきたいと思います。 次に,いじめ対策についてお尋ね致します。今年度の公立校におけるいじめの報告件数は3万1,369件,校内暴力は3万6,577件に上っております。また今年の5月,6月に全国の高校3年生約2,000人を対象に行われた第17回現代高校生の平和観アンケートによりますと,ニュースや新聞等であなたが最も問題だと思うことを一つ選んでくださいとの問いに対し,学校内でのいじめや暴力とする回答が実に42.6パーセントとトップになっております。新潟県の教育委員会では,県内の生徒のいじめ自殺をきっかけに失われた貴い命にこたえようと,いじめの起きない学校を目指した取組の中で全国初のいじめ防止学習プログラムを作成されました。このプログラムは,オーストラリアで発表されたいじめ防止手法ピース・メソッドの日本向け改良版と,これまで新潟県内の学校が独自に行ってきた様々な取組を組み合わせたもので,いじめが分かってから対応していたこれまでの姿勢から脱却し,予防のために学校の雰囲気や生徒の意識を変えることに重点を置いております。このいじめ防止学習プログラム検討委員会の副委員長で国立教育研究所生徒指導研究室長の滝充先生は,日本の学校と比べると,カナダやアメリカ,オーストラリアの先生は随分のんびりしているなあという風にしか私には見えない。日本の先生たちの方がはるかにまじめにやっている,一生懸命やっている。なのになぜ一生懸命やっている日本の学校でいじめが減らないで,のんびりしているオーストラリアでいじめが減るのか,そんなところが私にとっては疑問だったのです。これは先生たちの活動の方向がばらばらだというのが一番大きいと思います。みんなで全く同じことをするか,そうでなければ銘銘が自分の担当範囲内だけのことを黙々とやるか,そのどちらかに陥りがちなのではないかと指摘され,いじめに限らず学校のような組織で物事を進めていく際には教職員,そして子供たちや保護者が連携,協力し,共通の現状認識と共通の目標を持って日々の活動が行われていく場合に良い結果が出てくると訴えておられます。いじめは卑怯な暴力であり人権の侵害であるとの共通認識に立ち,いじめのない豊かな学校づくりに本気になって取り組むべきときが来ていると私は感じております。本市においても教育委員会と学校の先生方が連携,協力しながらいじめ防止に取り組んでいただいていると思いますが,生徒指導上の課題を克服していくための一つの方法として,是非本市独自のいじめ防止プログラムの作成も視野に置いて子供たちの変化に的確に対応できる新しい学校づくりに取り組んでいただきたいと考えますがいかがですか,御所見をお聞かせください。 次に,不登校対策についてお尋ね致します。去る10月28日,私たち公明党は,教育改革国民会議の委員であり,また本市の人づくり21世紀委員会の代表でもいらっしゃる国際日本文化研究センター所長の河合隼雄先生をお迎えし,新世紀へ。子どもたちにとって幸せな教育とはというテーマの下に公明党文化フォーラムを開催致しました。先生は,御自身が日本一の高校教師になろうという志の下,一人一人の生徒の良いところを見付けようと努力し,保護者にもその生徒の個性を一生懸命話すようにしていた。ところが保護者の多くはそんな話は余り聞こうとせず,それはそうと,うちの子は何番ですかと熱心に聞いてきてがっかりしたというお話から,今の日本の親は,子供の教育に熱心なのはいいが,何とかして良い子を作ろうとし子供たちの個性を認め伸ばそうとしていないと指摘され,21世紀の教育は個性をどう伸ばすかという教育であると主張されました。 本市における市立小中学校の不登校児童生徒数は,平成11年度で小学校が260人,中学校が1,059人,計1,319人となっており,市立高等学校における中退者は253名となっております。本市の不登校対策として,12年度にはスクールカウンセラーを36名に増員するなど,学校のカウンセリング体制の充実を図るとともに,元初音中学校に不登校の子供たちの新しい活動の場として,教科学習に加え体験学習や創作活動を中心としたプログラムを実施する京都市版フリースクールふれあいの杜を設置し,永松記念教育センター相談課との連携を密にしながらその充実に努めていただいていることは大変な御努力であるとともに,不登校で悩む子供たちや保護者にとっても希望の光となっているところでございます。しかし,不登校の問題を根本的に解決していくためには,文字どおり学校が個性を伸ばす,学ぶ喜びに満ちた場に変わることではないかと思います。名古屋大学の浪川幸彦教授は,この夏,世界各国の数学教育者が参加して開催された第9回数学教育世界会議の内容などを一般紙に寄稿されましたが,その中で,コンピューターは確かに教育の方法を大きく広げるが,それが教師に取って代わることはあり得ない。逆にコンピューターを数学教育上効果的に使いこなすには,教師のより深い数学の理解,より高い教育能力が必要である。子供たちの数学あるいは自然科学への好奇心は決して衰えていないし,これをただの遊びに終わらせず,算数,数学あるいは理科への学習意欲へといかに有効につなげてゆくかが正に21世紀における学校教育の主要課題の一つなのであると指摘しておられます。このように個性を伸ばし学ぶ喜びに満ちた学校にしていくためには,優れた教員の採用と養成が喫緊の課題であると思いますが,今後,本市として具体的にどのように取り組まれるのかお聞かせください。 次に,教育環境の整備についてお尋ね致します。先日,私は,京都府下で唯一の夜間中学校である京都市立郁文中学校二部学級を訪れ,その状況を視察して参りました。郁文中学校二部学級には様々な理由で学校に通えなかった方々85人が学んでおられますが,平均年齢は60歳を超え,70歳以上の人が30人,最高齢は81歳であり,その多くが在日韓国,朝鮮人の方々であります。毎年発行されている文集夜空には,文字を奪われて様々な差別や偏見を乗り越えてきた思いがつづられており,学校へ来て今まで書けなかった名前が自分で鉛筆を持って初めて書けたことがうれしくて涙が出てきた。今まで仕事の仕入れ以外,バスや電車に乗ったことがなく,誰の手もかりずに1人で学校へ来れたことがうれしくて涙がとめどなく出た。ところどころの簡単な平仮名が読めたとき,うれしくて,うれしくて心で手を合わせて感謝の気持ちで一杯です。私にとって二部学級は人間らしく生きていく原動力になっていますと学ぶことの喜びがあふれています。1日の仕事や家事を終えた夜,二部学級に集まって学ぶことの喜びに瞳を輝かせて真剣に勉強しておられる姿は感動的であり,また教職員の皆さんの献身的な取組と併せて正に教育の原点を見る思いが致しましたが,視察する中で,高齢ゆえに足が不自由な方も多く教室の移動に難儀されている様子でエレベーターの設置などバリアフリー化の必要性を痛感致しました。 また肢体不自由の子供たちが学ぶ呉竹養護学校も視察させていただきましたが,障害が重度重複化する中,教職員の熱意あふれる指導の下,子供たちは懸命に訓練や学習に取り組んでいます。毎年施設整備が行われると伺っておりますが,全体の老朽化も進んでおり,現在検討されている肢体に障害のある子供たちも,発達の遅れのある子供たちも共に学ぶことのできる総合制養護学校への再編計画に併せて抜本的な施設改善が図られることを期待しております。教育の充実には何より熱意ある教育実践が必要でありますが,そのための教育環境の整備も大切であります。我が公明党は,学校トイレの改善,整備,教室などの空調設備の設置,学校施設のバリアフリー化など快適な学校施設に向けての整備を重点政策に掲げて取り組んでおり,今後とも快適な学校環境づくりやバリアフリー化など学校施設の整備により一層積極的に取り組んでいただけるよう強く希望致します。極めて厳しい財政状況の下ではありますが,児童生徒が生き生きと学ぶことができ,充実した教育実践を支える快適な教育環境の整備に向けて桝本市長の基本的なお考えと決意をお聞かせください。 次に,図書館の運営についてお尋ね致します。現在,下京区では,元修徳小学校跡地に特別養護老人ホームなどと合築で新しい下京図書館の建設が進められており,来年度にはオープンの予定でございます。この春,桝本市長は,地域図書館の夜間祝日開館を公約の一つに掲げて当選され,去る5月から早速左京図書館において夜間祝日開館を実施されております。この夜間開館によって左京図書館では午後5時以降の利用者が全体の2割を超えるなど大変盛況で,全体の利用者も増加するなど地域の皆さんに好評を博していると伺っております。私は,このように市民に喜ばれている地域図書館の夜間祝日開館の取組について,来年度新しくできる下京図書館をはじめとする地域図書館においても是非拡大実施していただきたいと思いますがいかがですか,市長のお考えをお聞かせください。 次に,地域コミュニティの活性化についてお尋ね致します。平成11年12月に策定された京都市基本構想,21世紀京都のグランドビジョンに基づき,全市的な課題と施策を分野別,体系的に示す京都市基本計画が2010年を目標年次として策定作業が進められており,このほどその第2次案が提出されたところでございます。この基本計画と相互に補完し合う行政区別の基本計画についても多くの区民や事業者の皆様の御意見も踏まえながら各区の個性を生かした内容や重点的に取り組むべき方策に関する様々な提案がなされております。地元下京区の基本計画には,下京区の特徴の一つとして学区を単位とする豊かなコミュニティが挙げられております。各種団体の活動やそれぞれの地域におけるコミュニティ活動は市内でも特に活発で,特色ある取組も多く見られるし,こうした活動を支えるのが学区であり,町衆文化が生んだ番組小学校以来の人と人とのコミュニケーションやまちへの誇りは,一部では新しい人も巻き込んで今も着実にはぐくまれているとあり,少子高齢化が急速に進み,世帯構成では高齢者のみの世帯や若年単身世帯が増加し,また住宅構造でも1戸建てや長屋建てが減少してマンションが増加するなど,区民の住まい方やライフスタイルの変化,多様化が顕著になってきており時代の変化に対応する新しいまちづくりが大きな課題の一つになっているとされています。 私はこの秋,各学区の区民運動会に何箇所か行かせていただきましたが,高齢化の中で運動会への参加者が激減し,他の行事と組み合わせるなどして大変御苦労されている学区もございました。そんな中で有隣学区では二つの新しいファミリー向けマンションの八十数世帯の住民の方々が一つの町内として参加され大いに盛り上げておられました。また七条学区では,ファミリー向けマンションの方々はもちろんのこと,ワンルームマンションなどの単身者の方々も数多く運動会に参加され,色々な競技を工夫されていて,どんな人でも気軽に運動会に参加できるようになっており大変盛大なにぎやかな運動会が行われておりました。役員の方々にお聞き致しますと,日常的に学区の地域行事について,マンションにお住まいの方々にも積極的に情報提供されており,運動会だけではなく他の地域行事にも多くの方が参加されているそうです。また地元の商店街の皆さんも積極的に参加され,運動会の景品として商店街での景品交換券を出されるなど新しい人たちが商店街にも足を向け,地元の方々と交流ができるように工夫されるなど,これからの下京のまちづくりにおいてすばらしいお手本を見せていただいた気が致しました。そしてマンションなどにお住まいの方々も地元の人たちとの交流を望んでおられる方も多いということが分かりました。これからの地域のまちづくりや福祉活動,あるいは災害時の救援活動を行ううえでもマンションなどの新しい人たちに対して積極的に地域との交流が進められるよう,そして地域コミュニティを活性化していけるよう情報提供の在り方を工夫していくことが重要であると考えますがいかがですか,御所見をお聞かせください。 次に,青少年施設の再編成についてお尋ね致します。本市においては,青少年施設として青少年活動センター1箇所と青年の家7箇所が設置されておりますが,近年特に青年の家の利用状況の低下や施設の老朽化が進んでおり,平成9年度において,これらの施設の在り方に関する改善策の検討が行われ,第1次の取組としては,事業面ではこれまでの勤労青少年のための施設から勤労青少年を優先しつつ広く青少年全般が利用できる施設に改め,事業内容も講座型から参加型に改善するなど所要の改善を行うため,平成10年2月市会で関係条例の改正が行われました。現在の青少年活動センターについては,青年の家に事業を引き継ぐことを前提として廃止し,跡地に下京保健所を移転する計画を確定させ,12年度において必要な予算の計上が行われたところでございますが,同センターは京都駅前ということもあって年間約7万人の利用者があるということから,京都市青少年問題協議会においても再編成の進め方をもう一度よく吟味してほしいとの要望も出されましたし,利用者からも存続を要望する声が多く上がっております。将来的には施設の更新,適正配置を進める中で,市全体として施設の改善,施策の充実を図っていかなければなりませんが,当面する問題として,現利用者の方々の声にこたえるための暫定施設などの対処が必要であると考えます。いかがですかお答えください。 最後に母子医療体制の充実について一言申し上げておきたいと思います。我が公明党は,女性委員会を中心に子供の健全育成を目指して,アレルギー性疾患対策の充実をはじめ,子育てに対する母親の不安が取り除かれるよう国に対する署名活動を展開するなど積極的な活動を展開して参りました。我が党市会議員団としてもグランドビジョン第1次提言の中で,そして市長に対する予算要望の中でも,子供の病気だけではなく育児や不妊など子供と母親を守る総合的な医療体制の充実を図るため24時間対応型の母と子の病院を整備するよう強く求めてきたところでございます。市内の中心部には,交通の便も良く京都市にとって貴重な財産である学校跡地がございます。この学校跡地を是非母子医療体制の充実のために活用していただき,市内中心部の便利な所で母と子の病院が整備できますよう強く要望致しております。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(二之湯智君) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼君) 井上教子議員の御質問にお答え致します。 まず非暴力の市民意識を高めるための取組についてでございますが,いじめや暴力などに象徴される子供たちの心の荒廃は,大人社会のルール意識の希薄化や自己中心主義といった風潮の反映であり成熟社会への病理現象ともいうべき問題であって,子供たちの現在と未来にとって極めて憂慮すべき状況にあります。こうした課題は,社会全体の問題としてとらえる必要があり,京都市立学校では家庭,地域との連携を深めつつ心の教育の充実が図られるとともに,生徒会などではいじめや暴力を許さないアピールが出されるなど生徒自身の積極的な活動も進められておるのは御承知のとおりでございます。御指摘のように来年から平和の文化と世界の子供たちのための非暴力のための国際の10年の取組がユニセフを中心に全世界で始まろうとしております。京都市におきましては,こうした取組と連動してひとづくり21世紀委員会や子供ネットワーク連絡会議など広範な市民の皆様と手を携え,命を大切にし暴力を許さないといった市民意識を一層高める活動を京都市政全般にわたって積極的に展開して参りたいと存じております。また子供たち自身による非暴力宣言など子供たちの自主的な活動を支え励まし,京都から世界に非暴力のメッセージが発信できるよう私自身が先頭に立って取り組んで参ります。 次に,教育環境の整備についてでございますが,21世紀の新しい時代にあって学校施設には特色ある多様な教育が可能であることはもとより,人や環境への優しさ,更には生涯学習や地域防災の拠点としての機能が一層求められております。こうした時代のニーズを踏まえ,教育内容の進展に対応した校舎の大規模改造はじめ,快適なトイレへの整備やブロック塀を緑の生垣にし花壇を配した花と緑の学校グリーンベルト,子供たちからお年寄りまでの交流の場となる学校ふれあいサロンなど地域から親しみ愛されるとともに子供たちが生き生きと誇りを持って活動できる学舎の創造に努めて参っております。更に学校の増改築時には新たにエレベーターを設置するなどすべての人が利用しやすい施設づくりを積極的に進めているところでございます。大変厳しい財政状況の下ではございますが,教育は未来への贈物であり,御指摘の快適な学校環境づくり,バリアフリー化の観点を十分に踏まえ,50年先,100年先の人づくりを見据えたゆとりと潤いのある教育環境の整備充実に今後とも全力を傾注して参る決意でございます。 次に,地域図書館での夜間祝日開館についてでございます。図書館は,市民の生涯学習の基盤施設であり,文化,生涯学習の時代とも言われる21世紀を目前に控え,図書館への市民のニーズと期待はますます高まって参っております。京都市では昭和56年の中央図書館の開館以来,計画的に図書館の整備を進め現在中央図書館3館,地域図書館など16館の合計19館を設置し,年間貸出冊数は520万冊を超えるなど身近な生涯学習施設として定着して参っております。また全国に先駆けまして図書館の運営を財団に委託し,市民の目線に立った図書館サービスの向上に努め,その一環として中央図書館3館で夜間祝日開館を実施するとともに,本年5月からは地域図書館では初めて左京図書館で夜間祝日開館を開始致しております。左京図書館では利用者が大幅に増加するなど大変好評であり,その成果を踏まえ,御指摘の来年度に新築移転する下京図書館をはじめ地域図書館における夜間祝日開館が更に拡大できるよう条件整備を積極的に進め,教育委員会とも十分に協議して生涯学習時代にふさわしい図書館の更なる充実に全力を傾注して参りたいと存じております。 以下,高木副市長,教育長及び局長が御答弁申し上げます。 ○議長(二之湯智君) 高木副市長。 〔高木副市長登壇〕 ◎副市長(高木壽一君) 地域コミュニティの活性化についてお答え致します。京都市の住民自治意識の高さは,歴史的に見ましてもいわゆる町衆文化がはぐくんで参りました掛け替えのない財産でございます。しかしながら,近年の少子化や長寿化,そして核家族化といった急激な社会情勢の変化や価値観の多様化などが歴史がはぐくんだ地域コミュニティを希薄にしている実情もございます。伝統のうえに時代の変化に対応した新しい地域づくりが必要であることは先生御指摘のとおりでございます。このような中で御紹介いただきました有隣,七条の両学区におかれましては,地元の皆様方の御努力によってマンション住民の方々を町内の一員として温く迎え入れられ,またマンション住民の方々も地域の生活スタイルに順応され活発な地域コミュニティをはぐくんでおられますことは,新しい時代の地域の在り方として大変有意義な取組であると考えております。京都市と致しましては,地域に最も身近な行政機関でございます区役所が区民の皆様方とのパートナーシップの下に様々な観点から地域コミュニティの活性化を支援していくことが必要であると考えております。行政区別計画の策定過程で出来上がって参りました様々な情報提供と共同作業のノウハウやネットワークを生かしながら地域における自主的な新しいコミュニティづくりに積極的にかかわり地域の活性化に努めて参る所存でございます。以上でございます。 ○議長(二之湯智君) 中野文化市民局長。 〔中野文化市民局長登壇〕 ◎文化市民局長(中野代志男君) 青少年施設の再編成についてでございますが,青少年活動センターにつきましては御案内のとおり下京区役所の総合庁舎化の計画に伴いまして保健所を移転するため廃止するものでございます。これは市内7箇所の青年の家の利用状況の低下等によりまして平成10年度から事業見直しなど改善対策を行ってきたもので,その一環として行うものでございます。今回青年の家の名称の変更や中学生を利用対象者とするための年齢の引下げ,また新たに青少年活動の指導者の養成事業を行うなど事業内容の見直し等を行い,これまでの青少年活動センターの事業を各青年の家において所管させようとするものでございます。御指摘のとおり今後の青少年施設につきましては,施設の改善や建替え等を進め施策の充実に努めていく必要があるものと考えており,積極的に取り組んで参りたいと考えております。また青少年活動センターの廃止に伴いまして現利用者から様々な要望が出されておりますことから,御意見にありますように円滑な移行を図るため当面の対処につきましては,小学校跡地を利用し暫定的な代替施設の開設に努力して参りたいと考えております。以上でございます。 ○議長(二之湯智君) 矢作教育長。 〔矢作教育長登壇〕 ◎教育長(矢作勝美君) いじめのない学校づくりについてでありますが,いじめは人権にかかわる重大な問題であるとともに,児童生徒の心身の成長に大きな影響を及ぼすなど人間形成の根幹にかかわる問題であります。本市では,すべての学校,幼稚園にいじめ問題対策委員会を設置するとともに,生徒会の自主的な活動はもとよりいじめのない学校づくりを目指し近畿中学校生徒会交流会を開催するなど京都を発信基地として取組の輪を広げて参りました。また平成8年に全国に先駆け教職員用いじめ問題指導ハンドブックを作成し,いじめホットラインの開設,政令指定都市最多のスクールカウンセラーの配置など本市独自の組織的,総合的な取組を進めております。こうした下で本市のいじめの件数は減少傾向にありますが,根本的な解決のためには生徒自身の意識変革や教職員,保護者相互の協力,連携が重要であります。御指摘の独自のいじめ防止プログラムにつきましては本市のハンドブックの改定,充実に取り組むなど人権尊重を核とした学校づくりを進めて参ります。 次に,教員の採用と資質向上についてでありますが,教員には教科指導力はもとより,子供たちへの深い愛情と情熱,行動力など幅広い資質が求められております。本市では教員採用に当たり,これらの資質を総合的,多角的に把握するため全国に先駆け1次試験から全員個人面接を導入し,以後も志願時に子供たちへのメッセージの提出を求めることや2次試験での集団面接,模擬授業の実施,スクールカウンセラーの面接官への起用,クラブ活動歴,ボランティア活動歴の重視など年々試験内容の改善を図り優秀な人材の確保に取り組んできております。更に採用後は,民間人講師の研修への招聘や企業への長期派遣による視野の拡大はもとより,創意工夫にあふれた授業の展開を目指し実践的な研修を計画的,体系的に進めるなど意識改革を図りながら資質の向上に努めております。御指摘のとおり今後は子供たち一人一人が個性を伸ばし,学ぶ喜びを味わえる学校づくりがますます必要であり,子供たちの心をより一層しっかりととらえ,生きる力をはぐくむことのできる優れた教員の確保と養成に努めて参ります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(二之湯智君) 次に,市政一般について,竹内譲君に発言を許します。竹内君。 〔竹内譲議員登壇(拍手)〕 ◆(竹内譲君) 公明党の上京区選出の竹内譲でございます。公明党京都市会議員団を代表致しまして,21世紀を展望した産業,環境,そして都市計画にわたる政策提言と質問をさせていただききます。栄光と伝統あるこの京都市会において私が20世紀最後の代表質問者となりますので何とぞよろしくお願い申し上げます。 さて新世紀を目前にした現在,日本の人々そして京都市民に最も求められる時代精神とは何か。それは私は,志を立て挑戦する心であると考えます。20世紀最後の10年間に,日本は経済,金融危機,雇用危機,年金,医療危機,教育の危機,環境,生態系の危機など数多くの危機に直面致しました。その結果,閉塞感,焦燥感やいら立ちが日本列島全体を覆っています。私は,このようなときこそ政治が時代の変化に適応できなくなった既成の理念,価値観,原理原則,制度などを問い直し,先見性をもって迅速に政策を打ち出し,果断に実行していくべきであると考えます。そしてそのリーダーシップの下,市民が自らの志をもう一度見詰め直し,勇気を奮い起こして挑戦していくことが最も尊いと思うのです。 先ごろシドニーで行われましたパラリンピックにおいて障害のある青年たちがひたむきに戦う姿に感動された方は多いと思います。それはメダルの有無にかかわらず,志を立て障害に立ち向かい挑戦することが我々に深い勇気を与えてくれたからではないでしょうか。同時に忘れてはならないのは,選手たちを陰で指導し励まし続けたスタッフや友人,家族の存在です。励ますということがどれほど大切なことかを改めて教えられました。志を立て挑戦する主役は市民であり,それを励ますのが政治や行政の役割でもあります。いよいよ21世紀を迎えるに当たり,政治家京都市長としての志と挑戦とは何か,そして市民への励ましを語っていただきたいと思います。 さて今をときめく日本のソニーや京セラもかつては小さな中小企業,ベンチャー企業にすぎませんでした。東京大学教授の野口悠紀夫氏が指摘されているように,1945年体制とも言われている戦後経済システムが制度疲労を起こしている今日,21世紀の新しい未来を切り開く者は夢と志に富んだ起業家,すなわち業を起こす人であります。その意味で21世紀は独立,起業の時代であるとも言えるでしょう。したがって政府や京都市にはそうした夢や志を抱き挑戦する起業家を支援していくことが求めらます。 そこでまずベンチャー企業の支援策について提案並びに質問を致します。平成12年度に私及び我が公明党の提案に基づいて,京都市版SBIRを目指した中小企業技術革新制度すなわち地域ベンチャー中小企業等商品化,新事業可能性調査事業が創設されました。これは大学などとの共同研究の中から事業化を目指すケースや伝統産業の技術を生かした新商品開発などを対象に公募,審査を行い,優れた研究,技術構想に対して研究調査費を助成するものです。将来性のあるビジネスのシーズ,種を発掘し育成するという観点から大変効果のあった新制度として注目されています。そこでこれを更に市民に宣伝,周知するとともに,特に伝統産業分野での応募を促進すること,また審査合格企業に対して第2,第3段階の支援策を実現することを要望するものです。 次に,インターネットの上で技術と起業家との出会いの場を作ることです。京都には世界的にも有数の大学が多数存在していますが,そこに蓄えられた独創的な技術の数は相当なものであると考えられます。これらをどのように起業家とドッキングさせるかがこれからの課題です。恐らくこれら大学の技術は,応用次第では社会的に大きな影響力を持つ産業に発展する可能性があります。このような狙いから京都高度技術研究所の中に産学交流サロンや知性連合推進機構などが設けられたものと推定されます。しかし,この技術と起業家を結ぶ出会いの場を更に飛躍的に拡大する必要があります。 そこで提案致します。まず京都高度技術研究所のインターネットのホームページ上に民間企業や各種研究機関,大学の研究者の方々に技術情報の登録をしていただく。またビジネスモデルを考えている起業家の方やベンチャーキャピタルなど投資家の方にも登録してもらう。そしてインターネットの上で双方が意見の交換を行う。また有志の方によるフォーラムも自由に立ち上げる。更に京都高度技術研究所が双方の間に立ち,技術と起業家の出会いの仲介役を果たすことを提案するものです。第3に,目利き委員会合格企業や京都市版SBIR合格企業とアメリカの事業家あるいはアメリカの投資家との投資説明会や事業説明会の場を京都リサーチパークなど京都市で行うことを提案致します。日本の技術開発は目覚ましいものがありますが,日本のベンチャーキャピタルなどではまだまだ資金が不足しているため事業化のスピードがアメリカとの比較では遅いと言わざるを得ません。そこで京都の優れた技術力を持つ企業とアメリカの事業家や投資家との提携のきっかけを設定することは,この京都市が世界的にも注目されることになるでしょう。例えば京都市のベンチャー企業とシリコンバレー企業の提携,アライアンスができれば大変おもしろいと思います。これらの提案について所見を求めます。 独立,起業の時代を支えるもう一つの柱はマイクロビジネスに対する支援策です。マイクロビジネスというと聞き慣れない言葉ですが,これには2種類があります。一つは自宅でパソコンなどを活用して仕事を進める形態で,これをSOHOビジネスと言います。もう一つはコミュニティビジネスと呼ばれるもので,環境,教育,福祉,文化,健康,芸術など地域コミュニティの様々な問題について,住民が主体となってその解決を目的とするビジネスです。21世紀は意欲のある高齢者や女性起業家などの市民起業家が地域コミュニティで活躍する時代となるでしょう。かつてマルクスが想定し近代工業社会が作り上げた会社や工場に時間拘束されるという労働のスタイルが終わりを告げようとしています。哲学者のハンナ・アーレントが指摘するように,食べるために働く時代から夢や志,生きがいのために働くという時代へ転換しつつあります。世界のどこにいても仕事ができる,自分の時間は自分がコントロールする,楽しみながら働く,そういう労働革命,仕事革命の時代を迎えています。このような観点から本年8月に通産省の支援を受けてマイクロビジネス協議会が設立されました。これからはベンチャービジネスのみならずマイクロビジネスが注目されることでしょう。京都市においてもマイクロビジネスの育成を明確に打ち出し,SOHO起業家や地域コミュニティの中で活躍する市民起業家を広く支援する体制整備を行うことが必要です。例えば地域の中で教育,医療,福祉,芸術,文化,環境などの問題に取り組む市民起業家サミットを周辺自治体含めて開催してはどうでしょうか。市民起業家という存在が21世紀に向けて数多く登場していることを確認するとともに,成功事例を学び今後の課題について討議するのです。アメリカでは市民起業家を中心としたコミュニティビジネスの展開は大きな流れになっており,カリフォルニア州サンタバーバラでは同様のサミットが既に開催されております。また京都市の起業家学校の中に高齢者のための企業塾シニア起業家学校なども新たに創設してはどうでしょうか。退職された高齢者の方々の経験やキャリアを地域の中で生かし,利益主義ではなく生きがいや思いやりを重視したサービスを提供する起業家を目指していただきたいと願うものです。 さて21世紀の全人類的課題とは何か。放送大学学長で元東京大学学長の吉川弘之氏は,それは南北格差と環境の問題であると言われております。そして貧しい国々と豊かな先進諸国の間の南北格差と環境問題は二律背反,矛盾している問題であるとも述べておられます。このような問題意識を背景に1992年には国連で地球サミットが開催され,環境に害を与えずに貧しい国も含めて開発を進めていくにはどうすればよいかが検討されました。その後この京都市では1997年にいわゆるCOP3,地球温暖化防止京都会議が開かれたことは記憶に新しいところです。このような世界的な枠組みで環境問題が討議される中,日本におきましても成長と環境の両立を目指して2000年は資源循環型社会構築の理念が宣言されました。すなわち本年の通常国会で我が公明党が大いにリーダーシップを発揮した結果,循環型社会基本法をはじめとする循環関連6法案が成立致しました。それは基本法のほかに改正廃棄物処理法,資源有効利用促進法,建設資材リサイクル法,食品リサイクル法,そしてグリーン購入法の六つです。また2001年4月からは家電リサイクル法も施行されます。 最初にこの家電リサイクル法案に関して質問致します。全国の家庭から排出される使用済家電約60万トンのうち,約半分の30万トンがそのまま埋立てされ,最終処分場の残余年数を縮める要因となっています。中でも地方自治体が困っていることは,大型化するテレビや冷蔵庫,エアコン,洗濯機などで有害物質のフロンの回収をはじめ分解するのに手間が掛かるうえにコストが高く付くことでした。また金属を回収した後のシュレッダーダストの不法投棄も問題となっていました。このような背景の下に成立した同法の目的は,使用済家電が収集運搬されてリサイクルされるまでの過程を従来のように大型ごみとして地方自治体が処理するのではなく,メーカー,小売店,消費者が役割分担して責任を負うことにあります。すなわちこの法律では,エアコン,テレビ,冷蔵庫,洗濯機の4品目については,消費者は収集,運搬や処理の費用を小売店に支払って使用済家電を引き取ってもらいます。小売店は,引き取った家電をメーカーが定めた指定の場所まで運びますが,それ以降はメーカーの責任でリサイクル施設まで輸送して処理する仕組みです。その場合メーカーは高いリサイクル率を義務付けられます。 そこで京都市の役割は,まず家電4品目を大型ごみから除外し,原則として回収しない方針を固めることが大切です。そのうえで例外的に小売店が引取り義務を負わない製品の取扱いが問題となりますが,手数料設定を誤ると市のクリーンセンターに家電4品目が集中し民間ルートに回らないため,家電リサイクルのシステムが成り立たないことになります。したがって家電4品目の引取手数料は慎重に検討して設定することが必要であると考えます。これらに対して所見を求めます。 次に,現在京都市の抱える大きな環境問題の一つは,事業所などから排出される事業系ごみの大幅な増加です。家庭系ごみは昭和63年を100パーセントとすると平成9年は107パーセントであるのに対し,事業系ごみは昭和63年に対して平成9年は何と142パーセントにまで増え約42万8,000トン,京都市のごみの54パーセントを占めるに至っています。この間日本経済が低迷しているにもかかわらず,事業系ごみの量だけが増大するのは全くおかしな現象です。この理由として考えられるのは,京都市以外の周辺地域から京都市へ搬入されている事業系ごみの量が相当あるのではないかという推測です。それは周辺自治体のごみ処理能力が限定的であること,また周辺地域の事業系ごみの処理手数料に比べて京都市の処理手数料が格安になっていることなどから推測されます。そこで私は,事業所の排出した廃棄物については安易に税金による処理を認めるのではなく,再資源化費用も勘案した処理原価に基づいた適切な負担を課すことにより廃棄物そのものの発生を抑制することやリサイクルを誘導することが必要であると考えます。また排出者責任の明確化,指導の強化の観点からもクリーンセンターへ搬入する廃棄物収集業者や排出事業者を登録する制度も構築すべきではないかと考えますが,所見を求めます。 さて自動車は正に20世紀文明の象徴であり,我々の生活に今や深く根差しています。この車依存社会をどう変えていくのか。このことが21世紀の最大の環境問題であり都市問題であると言えるでしょう。従来はこれらの解決策として交通渋滞及びそれに伴う環境悪化を改善するために,供給の側面から道路整備を中心に行って参りましたが,今後は交通需要そのものを管理,抑制する施策を提示していかなければなりません。これがいわゆる交通需要マネジメント,TDMと呼ばれるものです。このTDM施策としては,これまでにも自動車利用の自粛,バス専用レーン,シャトルバス,交通情報,駐車場情報の提供などが実施されてきましたが,近年の著しい技術進歩により新たなTDM施策を導入していく必要が生じています。アメリカのワシントンD.C.での推計では,TDM施策の中でも駐車マネジメントとロードプライシングが比較的大きな効果を持っていることが報告されています。とりわけ近年日本でも注目されているのはロードプライシングです。これは一般的には交通渋滞の激しい都市内の混雑地域に集中する自動車に対して,そこに進入する場合に課税することにより自動車交通量を削減,分散するという経済的な誘導施策です。シンガポールでは既にETC,ノンストップ自動料金収受システム技術を利用した方式が実施されています。日本でもこのETC技術を利用し,本年度から3箇年で首都高速道路公団,日本道路公団ほか計4公団が全国900箇所の料金所にETCゲートを設置していくことになっており,これにより料金所での渋滞が著しく緩和されると言われております。 日本の自治体ではロードプライシングについては東京都が2003年度以降早期の導入を決定しております。京都市の場合,このロードプライシングや駐車場マネジメント,共同配送などを組み合わせた総合的な交通需要マネジメント政策の検討が不可欠です。そこで私は,この交通需要マネジメント政策の立案を単に都市計画局だけではなく,産業観光局や環境局などを横断する京都市全体のテーマとして採り上げ研究,検討し,市民的合意を形成していく必要があると考えます。これらの点について見解を求めます。 ところで21世紀は環境に配慮した物流という意味でグリーン物流の時代であるとも言われています。グリーン物流には大きく低公害車の導入,共同配送,鉄道,船舶などへのシフトなどがあります。ここでは共同配送を促進する政策及び関連する都市計画上の課題について質問致します。共同配送は,複数の企業が協力して荷物を運ぶことであり,これにより必要な車両の数が減り,CO2 などの排気ガスの発生を抑制できます。燃料費の節約にもなるなどコスト削減と直結するため企業としても取り組みやすい対策です。実際にサントリーでは情報システムを活用した共同配送などにより,全体ではこれまでトラックの走行量を12万6,000台削減しCO2 の排出量を2万2,000トン削減したと言われています。共同配送は基本的にはまず民間企業が構築すべき課題ではありますが,京都市としても,例えば物流効率化計画のしっかりした組合などに名神高速の南インターチェンジより南部の市有地を低い地代で貸すことや,また民間事業者が設ける共同配送システム専用の駐車施設や荷さばき施設を整備促進することを検討してはどうでしょうか。他方,京都市中心部では宅配やコンビニエンスストアなどでの商品荷さばき,駐停車が原因で一車線が全部使えなくなり渋滞となるケースが多いと思われます。そこで多くの荷さばき需要を発生させるオフィスビル,店舗,マンションなどを建設する場合は都市計画上,荷さばき駐車場の設置を義務付けてはどうか。更に大規模な開発に際しては,地域の一体的な荷さばき駐車施設を確保するよう誘導すべきです。これらの提案について見解を求めます。 第3番目のテーマとして21世紀のまちづくりの在り方について質問致します。現在市内のあちこちでマンション建設反対ののぼりが立っており,議会への請願運動も多数に上っています。しかし,地域住民の多くはやむを得ないと思っています。なぜならこのまま人口が減ってまちが空洞化する方がはるかに問題であるからです。けれども二,三十年後にはマンションの老朽化が始まり,地域から隔絶されたマンションはスラム化する可能性があります。私は,戦前の長屋に象徴される共同体生活,地域開放性のある生活様式から,戦後は経済成長と共に農村から都市への大量の人口移動が行われ,その中で核家族化や個室化を要求する生活文化の象徴がマンションであったと思うのです。しかし,現在21世紀を目前にして戦後生活文化が大きな曲がり角に立っています。今あちこちでまちおこし的な視点や町並み保存といった視点からまちづくりを考える風潮があります。けれども,まちづくりのためには日本の生活文化の変遷やその反映としての住宅の在り方に目を向ける必要があるのではないでしょうか。緑地が全くないとか,完成してもマンション住民が町内会にも入らないとか,地域行事にもほとんど参加しないケースもいまだに多く見受けられます。国勢調査も困難な場合があります。これはやはりマンションそのものが地域から閉ざされた存在になっていることを物語っていると言わざるを得ません。 今日,家族をするという努力をしない限り家族は維持できないように,地域をする努力をしない限り地域も維持できません。そこでマンションについては,地域に対して開かれた形式,それ自体小さなまちとしてのマンションなど京都の町並みや景観と調和し,古くなっても魅力的であり続けるような形式のマンションを考えておく必要があると思われます。それは単に高さ制限をすれば解決するような単純な問題ではありません。このような観点から,地域に開かれたマンションづくりを誘導する政策が求められます。その参考となるのが中京区の柳馬場通三条上るの旧京都ガス本社跡地に予定されているマンション建設構想です。ここでは町内会や住民団体,学識者,更には入居希望者も加わり,意見を募りながら町並みと調和し地域活動と文化の発信に使えるスペースを備えた賃貸集合住宅づくりに取り組んでいます。私は,このようなマンションづくりこそが理想の形態であると思います。本来であれば住民主導の地域協働型地区計画などが先行することが望ましい姿です。しかし,それには大変時間と労力が掛かるため,現在のように銀行の不良債権処理の一環としてどんどん計画されるマンション建設に対しては別途現実的に対応する必要があるのではないでしょうか。紛争調停や景観,町並み保全にとどまらず地域コミュニティづくりの観点から京都市としては早急に対策を練るべきです。見解を求めます。 次に,平成6年に刊行された町家型共同住宅設計ガイドブックがありますが,これは京都の町並みに調和しコミュニティづくりに配慮した新しいタイプの共同住宅を建築するための手引書で大変よくできたものと評価されています。しかし,私の知る限りこのガイドブックの存在を知らない建築家の方が多いようです。これを周知徹底することをもっと行うべきです。更に今後は共同住宅だけでなく京町家型1戸建て住宅のガイドブックも創刊してはどうでしょうか。 町並みや景観を壊すものはマンションだけではありません。京町家の文化や地域開放性を生かしつつ現代的な快適性も併せ持つ住宅を是非提言してほしいものです。更に長期的には住民主体の地区計画を定めることを促進する政策が必要です。そのために住民のコンサルタントとして,まちづくりデザイナー制度の創設を提案致します。まちづくりデザイナーは,それぞれのまちづくりに継続的にかかわる専門家で,その仕事は地域住民の様々なまちづくりの活動,建築活動について景観デザインの観点からアドバイスを行う,あるいはそのためのワークショップなど様々な仕組みを組織することです。京都市においてまちづくりデザイナー制度要綱を発表し,建築家などから募集,審査する。そして認定登録を経て各学区のまちづくり協議会などのアドバイザーとして活躍してもらうのです。21世紀の京都のまちづくりは,お上,役所がすべて決める時代ではありません。また東京などの一部文化人の思い込みによって決まるものでもありません。地域に根差した京都市民を主役として本当に京都らしいまちとは何かを考え,自分たちの手でまちづくりをしていくときを迎えております。以上の点につき所見を求めます。 最後に既に建ってしまっているマンション対策について質問致します。日本全国には分譲マンションが370万戸程度,住民は1,000万人を超えると言われています。京都市では約1,000棟,4万戸と推定されております。そのうちの約30パーセントが竣工後20年を超え,建物の老朽化と居住者の高齢化を迎えつつあります。したがって大規模修繕や建替えが必要となっているものも多いのですが,住民で作る管理組合が大規模修繕に取り組むのは容易ではありません。そこでマンションの管理業者に依頼することになるのですが,その管理業者が住民の知識不足を逆手にとって必要以上の修繕費を取ったり,業者が倒産して預けていた大事な積立金が差し押さえられたりというようなトラブルが続発しています。そこで公明党では国政の場で初めて本格的にマンション問題を採り上げ,平成11年3月にはマンションの再生に関する提言を発表し建設大臣に申し入れました。これを受け建設省は総合的なマンション対策を打ち出し,例えば国や地方自治体へのマンション管理の相談窓口の設置やマンションの修繕積立金を住宅金融公庫が受け入れ,修繕を実施する際に融資の優遇を行う制度などが実現しております。現在公明党が中心となり,自民党,保守党と共同してマンション適正管理法の制定を進めています。この法案は,分譲マンションの適正な維持管理を促すことが目的で,管理組合からの相談に応じるマンション管理士という国家資格制度の創設と管理業者に国への登録や情報開示などを義務付けるマンション管理業登録制度の創設などが主な柱となっています。京都市では,これまでにもマンション関連の講座の実施,市民相談の対応,他都市の取組状況調査などを実施してこられましたが,今後更に分譲マンションの適切な維持管理のための支援体制を整える必要があります。 そこで提案致します。第1に,市内分譲マンションの現状把握及び管理組合や入居者に対するアンケートに基づく実態調査を実施すること。その場合,地域コミュニティへの参加の実態把握や意識調査も併せて行うことが望まれます。第2に,弁護士など専門家と連携し,標準管理規約の普及,長期修繕計画策定支援,修繕積立金算出サービスの提供やセミナーの実施など相談窓口の充実,情報提供,意識啓発に努めることです。第3に,NPO法人等関係団体との連携や役割分担の検討を図ることが必要であると考えます。これらの点について見解を求めて,私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(二之湯智君) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼君) 竹内譲議員の御質問にお答え致します。 まず京都市長としての志と挑戦についてのお尋ねでございます。世紀の変わり目に当たり,今我が国は時代の大きな転換期を迎えております。少子長寿化や国際化,高度情報化の進展,右肩上がりの経済成長の終焉や深刻化する環境問題など山積する多くの課題は,これまでの我が国の社会経済システムを大きく変えようと致しております。私は,こうした社会経済情勢の変化や地方分権,規制緩和という地方自治を取り巻く流れに的確に対応し,お年寄りから子供まですべての皆さんが安心して暮らせる教育,福祉のまちづくり,産業や文化に活力と華やぎのある京都らしいまちづくりを積極果敢に推進していくことが146万人の京都市民の信託を受けた市長としての私の責務であると認識致しております。京都には長年にわたり磨き抜かれた文化や進取と独創の精神に支えられた自治の気概が現在も脈々と受け継がれております。私は,こうした京都の持つ力を生かし,市会各会派の先生方の御理解と御支援の下,まちづくりの主役である市民の皆様と一緒になって取り組めば,必ずや世界中の都市の先駆けを成す光り輝く千年新都を実現することができると確信致しております。 次に,交通需要マネジメント施策いわゆるTDM施策についてお答え致します。昨年策定致しました京都市基本構想におきまして,交通政策の分野において,環境への負荷軽減に十分配慮しつつ自動車交通に過度に依存しない公共交通優先型の交通体系を構築することと致したところでございます。今後,現在審議をいただいております次期基本計画の中で総合的な交通体系の基本的な枠組みを明確にし,その具体化に当たっては公共交通の優先を基本に歩くまち京都の実現に向け地下鉄や道路等の交通施設整備を進めますとともに,市民とのパートナーシップの下,京都のまちの実情に応じたTDM施策について総合的な視点に立って検討して参りたいと考えております。 マンション建設とまちづくりについてのお尋ねでございます。明治以降,京都のまちづくりとその発展は,学区を中心とする地域コミュニティの存在抜きに語れないことは御承知のとおりでございますが,近年この地域コミュニティが関係者の懸命の努力にもかかわらず,様々な要因により弱体化しつつあることは非常に残念であり緊急の対応が求められているところでございます。竹内先生御指摘のマンション問題もその要因の大きな一つでございます。そうした意味におきまして,御提案の地域に開かれたマンションづくりは京都市のまちづくりにとって極めて重要な課題であると認識致しております。マンション建設時に町内会への加入を協定書に盛り込むなどの取組が地域によって行われておりますが,こうした動きを支援していくことを含めてコミュニティづくりの観点からマンション問題にどう対応していくのか,ソフト,ハード両面から早急に検討して参りたいと考えております。 分譲マンションの適切な維持管理につきましては,国政においてもマンション管理適正化推進法が準備されるなど先生方の積極的な取組をいただいているところであり,京都市と致しましても,市民の居住の安全を確保するうえで重要と認識しており,今年度既に他都市等の取組状況の調査を実施したところでございます。分譲マンションの実態調査につきましては,具体的な施策の基礎資料として必要でございます。今般,国の補助が得られることとなったことからアンケート調査も含めた実態調査を早急に実施して参りたいと考えております。 次に,相談窓口の充実や関係団体との連携等につきましても,御指摘のように分譲マンションの適切な維持管理を促進するうえで有効な方策であると認識しており,今後の大変重要な政策領域であると考え積極的に進めて参りたいと考えております。 以下,副市長及び局長が御答弁申し上げます。 ○議長(二之湯智君) 増田副市長。 〔増田副市長登壇〕 ◎副市長(増田優一君) まず家電リサイクル法施行に向けました対応についてでありますが,この法律は,御指摘のとおり生産者及び排出者の責任に基づくリサイクルを促進し循環型社会の構築を目指すものでございます。現時点では製造業者の徴収するリサイクル費用や小売業者から機器の引渡しを受ける指定引取場所が明らかにされておりますが,小売業者の収集運搬料金等はまだ明らかになっておりません。このため本市では4品目については大型ごみとして取り扱わず,消費者の費用負担の下で小売業者が回収し製造業者へ引き渡す民間ルートでのリサイクルを基本として関係者との協議を重ねているところでございます。併せて現在小売業者が引き取らない4品目の取扱いにつきまして,料金設定も含めまして検討しているところでございまして,法施行に向けまして先生の御指摘の点も十分踏まえながら円滑なシステムを構築して参りたいと考えております。 次に,事業系ごみの減量化についてでありますが,御指摘のとおり依然増加傾向を示している事業系ごみ対策は喫緊の課題であると認識しております。このため本市では,事業系ごみのうち特に増加の著しい持込みごみの減量化に焦点を当てまして本年4月京都市廃棄物減量等推進審議会に諮問を行いまして,去る11月1日に御答申をいただいたところでございます。答申では,昨今の高度処理等に要する費用も含めた処理原価に基づく適正な料金設定を行うとともに,新たな制度の導入等により排出者責任の明確化と指導の強化等を行う方向をお示しいただきました。現在この答申に基づき事前登録制度の導入や料金体系の見直しにつきまして検討を重ねているところであります。今後,早期にごみの減量化と再資源化に結び付く仕組みを構築して参りたいと考えております。 次に,効率的な物流のための施設整備についてでありますが,交通環境の改善策や経営合理化策として,御指摘のとおり共同配送は有効な手法の一つであると考えております。既存の制度と致しましては中小企業流通業務効率化促進法いわゆる物流効率化法がございまして,この法律に基づきまして中小企業が行う共同集配事業の推進に対しまして国の補助制度が,これは京都府を窓口として設けられておりますので,本市と致しましてはこの制度の活用も含めまして共同配送の取組がより進むような対策につきまして関係の団体とも連携しながら取り組んで参りたいと考えております。また,荷さばき駐車施設の確保につきましては,御指摘のように荷さばきに伴う路上駐車の問題が安全,円滑な交通を阻害する大きな要因となっていると考えておりまして,その対応策と致しましては荷さばき施設や,あるいは一般の駐車場も含めましてより必要な場所に確保できるような対策として,例えば地域の空き地の活用,あるいは駐車場の共同利用などきめ細かい対策につきまして,今後,本市としても検討して参りたいと考えております。以上でございます。 ○議長(二之湯智君) 高木副市長。 〔高木副市長登壇〕 ◎副市長(高木壽一君) ベンチャー企業の支援策についてお答え致します。かねてから御要望のありました京都市版SBIRともいうべき独自の中小企業技術革新制度と致しまして,今年度から京都市域の総合的創業支援機構でございます地域プラットフォーム事業の一環として地域ベンチャー企業等商品化及び新事業可能性調査事業を実施致しました。提案を募集致しましたところ,大学や研究機関との共同研究や伝統産業分野など地域産業資源を積極的に活用した研究開発に取り組むベンチャー企業などから予定を大きく上回る26件もの優れた提案が寄せられまして,伝統産業分野2件を含む15件を採用したところでございます。今後は広報の充実を図りますとともに,伝統産業分野をはじめとした京都ならではの研究開発テーマの掘り起こしに努めて参ります。 次に,2点目の大学における技術と起業家との出会いの場についてでございますが,これまでから地域プラットフォーム事業の中核的支援機関であります財団法人京都高度技術研究所におきまして,大学と企業との人的交流を深めるための様々な事業を実施してきたところでございます。今後は地域プラットフォーム事業における情報基盤整備事業を活用致しまして,御指摘のインターネットを利用したより効果的な支援ネットワークの構築を図って参りたいと考えております。 次に,京都市ベンチャー企業目利き委員会においてAランクに認定された企業などへの資金調達支援につきましては,国内のベンチャーキャピタルはもとより広く海外の投資家や事業家も視野に入れた情報発信に加えまして,資金調達をはじめとした具体的な支援システムについても検討して参りたいと考えております。 また,いわゆるマイクロビジネスについてでございますが,御指摘のような規模の小さな地域社会に密着したビジネスなど今日的な課題を反映した多様なビジネスが生まれております。このような新たなビジネスの成長が地域社会にもたらす意義は非常に大きなものがあると考えておりまして,雇用の創出や更に規模の大きなベンチャー企業への成長にもつながるものと期待しているところでございます。これらマイクロビジネスに対する支援と致しましては,本年9月に開校致しました京都起業家学校や女性起業家セミナー京おんな塾におきまして革新的な事業者から学生,主婦,高齢者まで多様な起業家予備軍の能力開発を図る幅広い起業家人材育成事業を推進して参ります。また市内の市民起業家の現状を把握致しましたうえで先生御提案の事業につきましても検討して参りたいと存じます。以上でございます。 ○議長(二之湯智君) 西都市計画局長。 〔西都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(西晴行君) 京町家型住宅についてのお尋ねでございます。町家型共同住宅設計ガイドブックは,京町家の保全再生等と共に都心地域の活性化とバランスのとれた人口定着を図るためには共同住宅の建築が必要であり,その際,京都の町並みに調和しコミュニティづくりに配慮した新しいタイプの共同住宅とするための手引書として刊行したものでございます。今後更に周知を図り,活用できるように取り組んで参りたいと考えております。 また京町家は京都のまちの歴史,文化の象徴であることから,個性あふれる京都の暮らし,空間,まちづくりを継承発展させることを目指して本年5月,京町家再生プランを策定致しました。今後,京町家再生プランに沿って京町家の保全,再生の促進に努めて参りたいと考えております。 次に,先生御提案のまちづくりデザイナー制度についてでございますが,地域に根差した身近なまちづくりにおいては,市民が主役で取り組むことが重要であり,現在財団法人京都市景観・まちづくりセンターにおいて地域のまちづくりを継続的に取り組む協議会等の団体に対して専門家の派遣を行うなど,まちづくり活動支援事業を実施し住民の主体的なまちづくり活動の促進に努めております。今後ともこの事業が市民の皆様に分かりやすく利用しやすいものとなるよう募集方法や愛称の採用も含めて検討して参りたいと考えております。以上でございます。 ○議長(二之湯智君) これをもって一般質問を終結致します。~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(二之湯智君) 本日は,これをもって散会致します。 〔午後3時27分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    二之湯 智          副議長   今枝徳蔵          署名議員  田中セツ子          同     佐藤和夫 △請願文書表「受理番号545」「京都市青少年活動センターの存続」・請願文書表「受理番号546」「介護保険制度の改善に向けた利用者等の実態把握の要請」...